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 中国新聞社の写真企画「であい しまなみ」が、一九九九年度新聞協会賞を写真部門(企画写真)で受賞した。企画は、瀬戸内しまなみ海道の起点である尾道、今治両市と芸予諸島を舞台に、昨年八月から日曜日付朝刊に掲載した。三十七回にわたったシリーズの一部を再掲。取材に当たった記者が、芸予諸島での「出会い」を振り返った。

せとうち 夏に集う
愛媛県越智郡大三島町
(98年8月30日付)

◆ 島の人情・営みを凝縮 ◆

 瀬戸内海を象徴する緑豊かな多島美が凝縮された芸予諸島。その 島伝いに今年五月一日、三番目の本州四国連絡橋となる尾道―今治 ルートが開通した。

桜とパノラマ
愛媛県越智郡岩城村
(99年4月25日付)

 ルートの愛称は、沿線の島々の連なりを山並みに例えた「瀬戸内 しまなみ海道」。シリーズは、そのしまなみに暮らす人々の息づか いを、穏やかな海と島、そして新たな主役となった橋をモチーフ に、大型のカラー写真で浮かび上がらせた。訪ねた地域は十四市町 村に及んだ。

 しまなみ海道は本州側の尾道市から四国の今治市まで約六十キロ。 九つの島を大小十の橋で結ぶ。本四架橋三ルートのうち、先行した 二つのルートは、両方の起点を結ぶ「産業道路」の意味合いが強 い。しまなみ海道を生活橋と呼ぶのは、島しょ部に設けられた九つ のインターチェンジと橋に併設された自転車歩行者用道路の存在に よる。

 橋は島しょ部住民約十万人の普段の生活に密接にかかわる。観光 客も島に降り、歴史や文化、自然に触れることができる。島民が互 いをもてなし合う秋祭り(愛媛県越智郡岩城村)、三十年ぶりに取 り組む除虫菊栽培(因島市)、お遍路さんを待つ善根宿の布団の日 干し(愛媛県越智郡吉海町)…。夏から秋、冬、そして春へと移ろ う季節の色彩も盛り込んだ風土の写真は、架橋時代を迎え、やがて 変化する島の暮らしの現在の記録でもある。

(写真グループリーダー・紺野昇)

参道の主人
広島県豊田郡瀬戸田町
(98年11月22日付)


■ 海と山と空…感動の連続 ■
大村

 「あちい、あちい―」。暑さが盛りの昨年七月中旬、観光客に尾 道市内を案内する寺下五郎さん(65)のぼやき声を聞きながら、後を ついて歩いたのが「であい しまなみ」取材の始まりだった。橋の 架かる島と架からない島、そこに暮らす人々の変わる姿と変わらな い姿勢、海と山と空…。さまざまな出会いを求めて歩き回った。

 日だまりにのんびりと釣り糸を垂れるおばさん。潮の流れに舟を 漂わせる月見のグループ。レンズの先にはそこに生きる人たちのい つものなりわいがあり、それはとても新鮮だった。

 ろうそくを立てた位はい箱にサカキとリンゴを供え、背負う人も 周りも無言で踊る愛媛県越智郡大三島町の新盆踊り、三百軒の家々 がごちそうで振る舞い合う岩城村の島ぐるみの無礼講の秋祭りなど は、まさに出会いの感動。夢中でシャッターを押した。

 思いもかけない今回の受賞は、行く先々でこだわりなく接してい ただいた皆さまのおかげと深く感謝している。

(写真グループ・大村博)

もてなしの心
愛媛県越智郡吉海町
(99年4月4日付)

■ 気さくな笑顔に心が和む ■
今村

 「島にも親がおると思って、遊びにおいで」。取材を終えて帰る 際、何人の人にそう声を掛けてもらっただろう。海道沿線のだれも が、気さくな笑顔で迎えてくれた。取材で島へ向かうたび、知り合 った人々を訪ねるのが楽しみだった。

 連載を終えた今、しまなみ観光を計画する友人らからしばしば見 どころを尋ねられるが、口で説明するのは難しい。私にとって島の 魅力は、そこに暮らす人そのものだからだ。

 開通直後、因島の除虫菊畑を訪ねた。島のかつての風物詩を楽し んでもらおうと三十年ぶりの栽培に取り組む村上富夫さんとは、昨 夏に知り合った。手塩にかけた除虫菊は開通を祝うかのように咲き 誇り、久しぶりにお会いした八十五歳の笑顔は、ますます輝いてい た。

 祭りなどの行事ごとに、子供から大人まで地域の人々が集う光景 に、郷愁を誘われた。そして、島四国のお接待が象徴する「もてな しの心」があちこちにあふれている。そんな懐の深い島を、また訪 ねたい。

(社会経済グループ・今村朱美)  

 このシリーズは十月中旬に出版します。


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