'98/3/22

タイトル

 都会の風 ごみも呼ぶ −招かれざる客

 海の上でやわらかな曲線を描く。車で走っていると、いささか頼りない感じを受けるほど細身で、優美な橋である。

 福山市に近い沼隈半島の先っぽから、内海町の田島に架かる内海大橋。一九八九(平成元)年に開通して九年、橋を渡って、内海町に「都会の風」が吹き寄せた。

 「本土から、島の閉鎖性を打ち破る、いい風が吹いている。もっとも、人はどんどん入ってくるが、ごみも持ち込まれる。『ごみ大作戦』ですよ」

 内海町の福島道信助役(58)はそう言って笑った。

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写真
内海大橋
ライトブルーの2つのアーチが青い海に映える
(右が田島)
 架橋によって内海町は、福山の経済圏、生活圏と一体になりつつある。橋を通行する車は、平日が約四千五百台、休日は約七千台。夏の海水浴シーズンは一万台にもなる。海水浴、釣り、潮干狩りなどを目的にした福山方面からのレジャー客は、年間三十万人を超える。

 夏の週末、海水浴場のある横島の横山海岸と大浜海岸に向かう車で、道路はしばしば渋滞する。横島漁協職員の岡崎宏さん(37)は「道を横断するのが難しいほど。路上駐車で離合できなくなって大変ですよ」と言う。

 島の人口は約三千七百人。橋が開通しても少しずつ減っている。逆に、橋を渡って流入するレジャー人口は、年々増える。このレジャー客を活性化につなげようと、町や漁協は意欲を燃やす。

 内海町の横島漁協が春から秋にかけて実施している底引き網観光、田島漁協の定置網観光の客は、架橋後に倍増した。町は「海洋レジャー基地」を目指して、田島の寺山海岸にマリーナや海水浴場を整備中。この夏から一部オープンの予定で、さらに流入客が増えそうだ。

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地図
 岡崎さんは昨年夏、夜釣り客の調査をした。「土曜日の夜九時ごろ、横島の三カ所の波止場にはそれぞれ二十人ほどいた。田島の箱崎は、波止場か人間かわからないくらいだった」

 波止場を歩くと、海底に捨てられた空き缶が目につく。「釣り禁止」の看板が立っていた。両漁協とも排除するつもりはないが、マナーを守らない釣り客は「招かれざる客」である。

 田島漁協参事の門田俊雄さん(45)は「最近は女性の釣り客が多いですよ。マナーの悪い釣り人は一部なんでしょうが、紙おむつまで捨てる人がいる。条例でもつくって取り締まらんといけんのでは」とまで言う。

 両漁協では、毎年春に組合員を動員して一斉清掃をする。昨年は二十八隻の底引き網漁船が出て、海底のごみ二十五トンを収集した。

 「ビニールと空き缶がほとんど。ビニール類は始末が悪い。おまけに、買い物は都会のコンビニなどでしてくるので、経済効果もない」と岡崎さん。

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 毎年六月には、町を揚げて「空き缶キャンペーン」も実施している。町は、海岸のごみ収集を週二回から三回にした。

 弁当殻が一つでも捨ててあると、あっという間にそこがごみの山になる。「きれいにしておけば、ごみが捨てにくいから」と二年前、島内百三十五カ所に置いていたごみ箱を撤去した。海岸のごみ収集日には、島内放送で「ごみの持ち帰り」を呼びかける。

 捨てられるごみの量は、今のところ減る気配がない。島民揚げての掃討作戦は、まだまだ道遠しである。


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