| '99.4.30 |
潮が育てた味広めたい
すぐ売り切れ
あいにくの雨模様だが、特産大島石のモニュメントが並ぶ石文化運動公園にある石文化伝承館に移ってからも漁の話が弾む。「宮窪の魚はうまいよ」「なぜなの」「潮流が速いから小ぶりでも身が締まってるんだ」 尾道にも出荷
今はタイ網漁の最盛期。強風で漁を休んだ二郎さんは「天気が良かったら今ごろは船の上。皆さんと会えたからよかったけどね」と言う。傍らで妻弥重美さん(38)と、生谷さんの妻三枝さん(39)は「五月には一カ月ぐらい主人と二人で船に乗り込むのよ。朝早いので初めのころは子どもがちゃんと起きて学校に行くか心配だった」と話す。 今治市出身で今も看護婦をしている弥重美さんは、友人と宮窪の秋祭りに遊びに来たのが縁で十八年前に結婚。「まさか船に乗って漁をするようになるとは。人生は分からない」と楽しそう。小林さんは「私もそう。初めて材木を担いだ時はなんで私がって思ったわ」と応じる。 二郎さんが「魚がようけとれたら船に乗るのが楽しかろう」と話しかけると、弥重美さんは「二人の気が合うと面白い仕事。でも高校二年の息子が後を継ぎたいって言うから、そうなったら船を下りるつもり」と明かす。 話の途中、赤坂さんが朝三時に起きて仕込み、焼き上げたさまざまな種類のパンのお土産を披露した。「こんなにおいしいパンは初めて。ここに支店を出したら買いに行くよ」と弥重美さんたち。赤坂さんは「自分が食べておいしいパンを作るのに天然酵母や野菜、海草を入れるなど、健康にこだわっているの。尾道に来たらぜひ食べに来て」。パン談義が続く。 「また来たい」 一致したのは「食べ物にはこだわりが必要」ということ。二郎さんは「漁師市や直送販売では宮窪産の天然物にこだわりたい。海がしけたら魚はないと謝る。よその魚や養殖物は売りたくない」と言う。 メンバーの夢は、宮窪の魚のブランド化。しまなみ海道の開通は「宮窪の名前を知ってもらういいチャンス」と二郎さんたち。そのため観光クルーズなどさまざまなイベントを行ってきた。開通翌日の二日に開く漁師市にも期待している。 一方、パンのお返しにトロ箱いっぱいの魚をもらった赤坂さんは「混雑が一段落したらまた訪れたい」。尾道に帰ると、今度は宮窪で会った一人ひとりの顔を思い浮かべながら焼いたパンを送った。
(部谷修・片山明子)
=おわり=
<宮窪水産研究会>
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