中国新聞




「らしさ」出ず 逆転負け

岡山学芸館(岡山) 001 000 000―1
高 知(高知) 000 005 20×―7

試合終了後、一塁側応援団にあいさつし、ベンチに戻る岡山学芸館ナイン

 五回までわずか1安打。切れのいい直曲球を投げ分けていた 岡山学芸館の池崎が突如、六回に崩れた。

 一死から福本以下に、4連続の短長打を浴びて3失点。さらに四 球と福山の二塁内野安打が続いた満塁から、スクイズと藤本の失策 で一挙に5点を失った。七回には二番手岸本も、四球絡みの3安打 を打たれて2失点。効率のいい攻撃でダメを押された。

 打線は三回、若竹が左中間にソロホーマーして先制。四回にも青 山の二塁打と四球などで一死二、三塁の好機を築いたが、後続が凡 退。七回二死一、二塁から放った浅尾の中堅への大飛球も、宮尾の 好守に阻まれた。(永山)

好投のエース まさかの乱調

六回裏、高知一死一、二塁。マウンドに集まり、伝令の柏木(12)から指示を受ける岡山学芸館ナイン

 機動力を絡めた強打、全員で投手をもり立てる伸び伸び野球が、 岡山学芸館の持ち味である。昨秋の中国大会は、4試合すべて二け た安打で初制覇した。夢の大舞台は、非情だった。初出場のナイン から、「らしさ」を奪ってしまった。

 中国大会では、エース池崎と右腕岸本が打たれながらも踏ん張っ た。この日は序盤、池崎は速球とカーブを両コーナーに投げ分け、 五回まで1安打無失点。一週間前に痛めた背中の故障を感じさない ほどだった。

 甲子園は、ここからが違った。六回一死から福本に右前打される と、歯止めが利かなかった。四球や失策も絡み、5点を失った。福 本に打たれた後の4安打は、いずれも2球目までの早いカウント。 池崎は粘り強い投球が身上だった。捕手の高橋は「初球の入り方が 悪かった。自分の配球ミス」とうなだれた。

 攻撃も、高知のエース福山に持ち味を消された。直球に緩いカー ブ、追い込まれてのフォークに的が絞れず、得点は若竹のソロ本塁 打だけ。連打で勝ち上がったチームが散発4安打。盗塁も0で、1 試合平均盗塁3・7個で出場校中2位だった機動力も発揮できなか った。

 松浦監督は試合前、「独特の雰囲気の中で、伸び伸びプレーがで きるかがポイント」と話していた。その心配が見事に的中した。 「伝統校はここ一番で勝負強く、うちにはそれがなかった。いい勉 強になった」。甲子園の怖さを味わったナインたち。この貴重な経 験は、きっと今後の試合に生かされるはずだ。(城戸)

●本塁打実らず 雪辱誓う ―若竹主将

三回表、岡山学芸館二死。先制のホームランを放ち一塁を回ってガッツポーズをする若竹

 「初戦で本塁打を打ちます」。組み合わせ抽選会で、そう予告し た一発が飛び出したのは三回二死からだった。打球が左中間最深部 に吸い込まれたのを見届けると、両手を思いっ切り天に突き出して 喜びを示した。

 目いっぱいのガッツポーズを取ったのには、訳がある。それまで チームは1安打で、福山の術中にはまりかけていた。「自分がいい 当たりの安打を打ち、みんなを乗せていきたい」との思いがあっ た。

 思惑通り四回には、青山の二塁打と四球などで一死二、三塁。し かし、この好機を逃すと、その後の自らの打撃も乗ってはいけなか った。

 「本塁打はストレート狙いがズバリ。打てたのはうれしいが、負 けたので」。公式戦での初本塁打も、主将とあって反省の言葉が次 々と並ぶ。「後半このままいけると、チームに安心感が出た」「ま だみんなミスが多すぎる」

 チームの支柱でもあるガッツマンは「これで自分たちの力が分か った。また鍛え直してここに来たい」と、夏にけん土重来を誓っ た。(永山)


「よくやった」 2200人ねぎらいの拍手

 「まさか」。選抜高校野球大会三日目の二十七日、高知(高知) と対戦した岡山学芸館は、1―7と予想外の大差で敗れた。中国地 方の覇者として乗り込んだ甲子園。初陣こそ飾れなかったが、序盤 に先制して四国の古豪を苦しめた。「よくやった。胸を張れ」。一 塁側アルプス席を埋めた約二千二百人の応援団から、温かい拍手が 送られた。

 「打順が二、三順したら怖い」。六回裏、スタンドで見守る森隆 章コーチ(67)の悪い予感は当たった。相手の二、三番が連打。池崎 竜太投手に伝令が走った。スタンドも「大丈夫、頑張れ」と後押 し。父隆彦さん(46)は「ここが踏ん張りどころ」。

 しかし、さらに2連打されるなど、この回5失点。「あー」。ス タンドの声援は悲鳴に変わる。松浦徹監督が心配していた守備の乱 れも突かれた。

 七回までに大差がつく展開にも、スタンドは一丸となって応援。 七回、代打で出場した小林篤史選手の母丸美さん(47)は「チームの 危機を救ってほしい」。祈りは通じず、自慢の強力打線は沈黙した ままゲームセットを迎えた。

 「君の望む君になれる」。応援団が掲げたメッセージが、うなだ れて応援席に走り寄る選手たちに贈られた。常に全力疾走を忘れな かったナイン。森靖喜校長は「この悔しさを忘れず、また来よう」 と、穏やかに語りかけた。球春の甲子園に、さわやかな緑の風が駆 け抜けた。

(2001.3.28)


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