中国新聞




無念 8強届かず

尽誠学園(香川) 200 001 000―3
関 西(岡山) 000 000 010―1

尽誠学園とのあいさつを終え、無念の表情でベンチに引き揚げる関西ナイン

 関西の宮本はタフな左腕だ。四回を除いて毎回、走者を背にするピッチング。尽誠学園の12残塁という数字が、打たれ強さを示している。

 悔いが残るとすれば、立ち上がりの甘さだろう。一回、先頭打者の坂口と坂田にソロ本塁打。ともに打者有利のカウントで、不用意にストライクを取りに行ったところを打ち込まれた。

 六回の失点は、先頭打者の青木に四球を与えたのがきっかけ。二死三塁から和田の左前適時打で、決定的な追加点を奪われた。

 攻めては二回無死一、二塁で二塁走者河本が飛び出し、捕手からの送球で刺されたのが痛い。これで和田のペースにはまり、七回まで無得点。八回、宮本の右前適時打で1点を返すのが、精いっぱいだった。(永山)

平常心失い 攻撃空回り

 一回のソロ本塁打二発で、関西ナインは平常心を失った。ワンチャンスで逆転できる2点差。この微妙な点差が「早く逆転しよう」という焦りを誘い、攻撃を空回りさせた。

 「宮本があんなに長打を浴びたのだから、子どもたちも驚いたのでしょう」。角田監督は一回の守備を終え、ベンチに帰って来た選手の動揺には気付いていた。ただ、攻撃に影響するほどのダメージだとは思っていなかった。

二回裏、関西無死一、二塁。二塁走者の河本(右)が捕手黒渕からの送球でタッチアウト。左は遊撃手坂田

 監督の判断とは裏腹に、ナインはいつもと違っていた。端的な場面が、死球と敵失で得た二回の無死一、二塁。ここで板野が走者を送る予定だったが、カウント1―1から真ん中のスライダーを見逃し。バントを決め込んでいた二塁走者河本は帰塁が遅れ、捕手からの送球でタッチアウト。崩れかけていた相手エースの和田を助ける結果になった。

 六回一死からも、手痛い走塁死。宮本が二塁内野安打で出塁したものの、ノーサインで盗塁のスタートを切った。結果はけん制にかかり、一、二塁間に挟まれて憤死。宮本は「気付いたら、飛び出していた」とうなだれた。

 公式戦11試合のチーム打率は4割2分7厘。エンドランや盗塁を絡め、1試合平均10得点。ともに出場校中、最高の攻撃力を誇った。だが、直球とスライダーを投げ分ける和田の術中にはまり、最初から最後まで狙い球が絞れず、結局は散発5安打に抑え込まれた。

 初戦で下した鳥羽(京都)とこの日の尽誠学園は、ともに優勝候補。両校と互角に渡り合っただけに、全国上位の実力はある。あとは甲子園での経験を自信に、劣勢にも動じない平常心を養ってほしい。 (城戸)

●快音響かず「夏 出直す」 ―越智三塁手

甲子園初安打となる三塁選を破る二塁打を放った越智

 三回一死から放った強烈な三塁線二塁打。これが、甲子園で6打席目にしてやっと飛び出した初安打だった。そして八回には敵失で出塁した後、宮本の右前打で生還するなど、リードオフマンとしての役割は果たした。

 しかし、チームは5安打にかわされて敗戦。この結果に、「みんな自分のバッティングができていなかった」と声を落とした。

 チーム打率が出場34校中、1位の4割2分7厘を誇る中にあって、自らの通算打率も5割。その自信から大会前、帽子のひさしに「楽園」と書いた。「甲子園を楽しもうという意味です」。晴れの舞台は自らを最大限にアピールする場所になるはずだったが、現実は違った。

 後手を踏んだ焦りと力みから、捨てるつもりの低めのスライダーについ手が出た。4打席のうち3打席。それだけに、例え二塁打しても納得できない。「打てたのはたまたま。打とうという気が強すぎた」と反省した。

 本当に甲子園を楽しむためには、実力が伴っていなければならない。敗戦でそれを学んだ。「もっと努力をして、夏に出直したい」との言葉に力を込めた。(永山)


「また来ような」  ―応援団から暖かい拍手

勝利を祈り、声を合わせてメガホンで声援を送る関西応援団

 選抜高校野球大会七日目(31日)の3回戦第1試合で、関西は四国大会の覇者・尽誠学園(香川)に1―3で惜しくも敗れ、ベスト8進出はならなかった。自慢の打線は力を出し切れなったが、初戦の鳥羽(京都)に続いて優勝候補を相手に好ゲームを展開。「また来ような」。夏への確かな期待を膨らましたナインに、約二千五百人の応援団からねぎらいの拍手が鳴り止まなかった。

 「流れを変えたい」。0―3と抑え込まれていた八回二死三塁。スタンドの熱い視線は、一年生の三番宮本賢投手に集まった。「頼む」「打って」。この試合、幾度とない押せ押せコールがスタンドから沸き上がる。初球。打球が一、二塁間を抜け、応援団の目の前に飛び込んだ。

 待望の初得点。切れ目のない強力打線の噴火に期待が高まった。「続け」。辻信也右翼手の父宏夫さん(40)は「突破口は開いた。あとは先輩が何とかしなくては」とげきを飛ばす。追い上げムードもつか間。主砲の杭田考平遊撃手が凡退。九回も三人で打ち取られた。

 一回から2本塁打を浴び、苦しい展開。宮本投手は走者を背負いながらも、粘り強い投球を貫いた。父寿男さん(50)は「いつも通りの投球。夏につながる」と息子をほめた。

 惜敗にも、ナインの大半が涙を見せなかった。「もっと上に行けるぞ」。試合終了後、応援席に駆け寄る選手に温かい声援が送られた。難波泰朗校長(64)も「困難を切り開く力を持ってほしい」。ナインもスタンドも、すでに夏をしっかり見据えていた。

(2001.4.1)


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