中国新聞




無念、反撃遅し 強豪・東福岡に4―8

広 陵(広島) 000 002 110―4
東福岡(福岡) 502 100 00×―8

応援団にあいさつをして甲子園を去る広陵ナイン

 広陵がいきなりつまずいた。一回、先頭の上坂に左中間に三 塁打を放たれ、金子の制球が大きく乱れた。続く日野以下に、3四 球を与えて先制点。なおも西村の2点適時二塁打の後、鶴浜に2ラ ンスクイズを決められ、この回計5点を失った。

 さらに三回には再度、西村に左前に運ばれ2点。四回には、下野 に左中間本塁打されるなど一方的に守勢に立たされた。

 下野の前に五回まで3安打と封じ込まれていた打線が、反撃に転 じたのは六回。中東、倉重の適時打で2点を返すと、七回には末木 が右翼ポール際に本塁打。八回には黒川の右中間三塁打と倉重の右 犠飛で1点を追加したが、前半での失点が大きく及ばなかった。 (永山)

熱 球  後半の「思い切り」夏への糧に


一回裏、東福岡一死二、三塁、鶴浜が飛び付きながら2点スクイズ。 打球を追う投手金子と捕手倉重の広陵バッテリー

 「地震の被害で気持ちが沈んいる広島の人たちのためにも、思い 切った試合を見せたい」。新井主将は試合前、こう決意を述べた。 だが、序盤の失点が響き、結果は4―8。優勝候補の看板の前に萎 縮し、思い切ったプレーを発揮出来なかったのが点差になって表れ た。

 エース金子は速球とスライダー、シュートで打者の内角を突き、 横の揺さぶりで打ち取る青写真を描いていた。その構想は、わずか 2球で崩れた。一回、先頭の上坂に打たれた左中間三塁打が影響 し、金子は「何とか凡打を打たせようと慎重になり過ぎ、思い切っ て腕が振れなかった」。

 外角に球を集め過ぎ、内角球で打者を反り返らせた球はたった2 球。三塁打の後、3四球で押し出しの先制点を許した。その後は一 気に4点を追加され、頭の中は真っ白。「本来の精神状態では、な かったのだろう。すぐに励ましてやれなかった僕の責任」と、中井 監督は四回で降板した金子を気遣った。

 六回以降の反撃は、気の持ち方が大きく影響した。きっかけにな ったのは、中井監督の一言。「地震で大変な時に、たくさんの人が 応援に来てくれている。このままでいいのか」。一塁側アルプス席 で必死に声援を送る約二千人の応援団に、選手はようやく思い切り のよさを取り戻した。

 六回は中東と倉重が適時打。七回には、末木が右翼席へ本塁打を放った。追 い上げは4点にとどまったが、新井主将は「足りなかったものが分 かった」と言った。

 夏に向けてさらに飛躍するには何が大事か。 ナインはきっとヒントをつかんだに違いない。(城戸)

●晴れの舞台 会心の本塁打 ―末木晃遊撃手

七回表、広陵無死、末木が右越えにソロ本塁打を放つ

 打った瞬間、それと分かる当たりだった。下野のスライダーをと らえた打球は高々と舞い上がり、右翼ポール際にポタリと舞い落ち た。「打った感触はあったが、球種を決めていたわけではない。た またま入っただけ」。晴れの舞台で放った通算8本目となる会心の 一撃を、そう言って振り返った。

 本塁打だけでなく、三回には二盗、五回には投手強襲の内野安 打。これほどの活躍にも、その表情はさえなかった。「九回、先頭 打者で塁に出ないといけないのに、出られなくて」と残念がった。

 広島が震災に遭った直後だけに、この一戦にかける思いは強かっ た。「みんなと『広島を元気づけるため、いいプレーをしよう』と 話し合った」。顔が終始、うつむき加減だったのも、この願いがか なわなかったからでもある。

 176センチ、68キロの体ながら、プロが狙う逸材。中井監督も「高 校時代の二岡(巨人)より野球センスは上。僕が十年間、見てきた 中では、一番センスがある」と言う。加えて、強打に堅守。この敗 戦を夏に向けての糧にするつもりで、「もっと点が取れるよう、僕 がチームを引っ張っていきたい」と言い切った。(永山)


(2001.3.27)


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