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| 一回裏、東福岡一死二、三塁、鶴浜が飛び付きながら2点スクイズ。
打球を追う投手金子と捕手倉重の広陵バッテリー |
「地震の被害で気持ちが沈んいる広島の人たちのためにも、思い
切った試合を見せたい」。新井主将は試合前、こう決意を述べた。
だが、序盤の失点が響き、結果は4―8。優勝候補の看板の前に萎
縮し、思い切ったプレーを発揮出来なかったのが点差になって表れ
た。
エース金子は速球とスライダー、シュートで打者の内角を突き、
横の揺さぶりで打ち取る青写真を描いていた。その構想は、わずか
2球で崩れた。一回、先頭の上坂に打たれた左中間三塁打が影響
し、金子は「何とか凡打を打たせようと慎重になり過ぎ、思い切っ
て腕が振れなかった」。
外角に球を集め過ぎ、内角球で打者を反り返らせた球はたった2
球。三塁打の後、3四球で押し出しの先制点を許した。その後は一
気に4点を追加され、頭の中は真っ白。「本来の精神状態では、な
かったのだろう。すぐに励ましてやれなかった僕の責任」と、中井
監督は四回で降板した金子を気遣った。
六回以降の反撃は、気の持ち方が大きく影響した。きっかけにな
ったのは、中井監督の一言。「地震で大変な時に、たくさんの人が
応援に来てくれている。このままでいいのか」。一塁側アルプス席
で必死に声援を送る約二千人の応援団に、選手はようやく思い切り
のよさを取り戻した。
六回は中東と倉重が適時打。七回には、末木が右翼席へ本塁打を放った。追
い上げは4点にとどまったが、新井主将は「足りなかったものが分
かった」と言った。
夏に向けてさらに飛躍するには何が大事か。
ナインはきっとヒントをつかんだに違いない。(城戸)
●晴れの舞台 会心の本塁打 ―末木晃遊撃手
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| 七回表、広陵無死、末木が右越えにソロ本塁打を放つ |
打った瞬間、それと分かる当たりだった。下野のスライダーをと
らえた打球は高々と舞い上がり、右翼ポール際にポタリと舞い落ち
た。「打った感触はあったが、球種を決めていたわけではない。た
またま入っただけ」。晴れの舞台で放った通算8本目となる会心の
一撃を、そう言って振り返った。
本塁打だけでなく、三回には二盗、五回には投手強襲の内野安
打。これほどの活躍にも、その表情はさえなかった。「九回、先頭
打者で塁に出ないといけないのに、出られなくて」と残念がった。
広島が震災に遭った直後だけに、この一戦にかける思いは強かっ
た。「みんなと『広島を元気づけるため、いいプレーをしよう』と
話し合った」。顔が終始、うつむき加減だったのも、この願いがか
なわなかったからでもある。
176センチ、68キロの体ながら、プロが狙う逸材。中井監督も「高
校時代の二岡(巨人)より野球センスは上。僕が十年間、見てきた
中では、一番センスがある」と言う。加えて、強打に堅守。この敗
戦を夏に向けての糧にするつもりで、「もっと点が取れるよう、僕
がチームを引っ張っていきたい」と言い切った。(永山)
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