
| アマスポーツNOW |
|
第2部 部活の現状 1 | 勝利至上主義 |
|---|
|
| 全国大会に出場しても、競技を続けない選手が多い駅伝競技(99年11月21日、中国中学駅伝) |
| 熱意裏目、燃え尽き現象も |
|---|
「小学校のスポーツ少年団でバレーボールをやっていた選手が、中学校で競技を続けないケースがある。指導者としては、残念なことですが…」。広島県中体連の役員が、悩みを口にした。
| ||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
県内のある公立中のバレーボール部顧問も、同じような経験があるという。「声を掛けるんですが、なかなか入部してくれない。『もうバレーはいいです』と言う生徒もいますしね」
広島県には、男女合わせて百三十を超えるチームが、小学校で活動している。しかし、熱心さの裏側で、練習のやり過ぎによる故障や、燃え尽き現象も存在する。
広島市安佐南区のあるスポ少OB(23)は、そういった仲間を多く見てきたという。「休日は盆と正月の三日間だけ。練習も夜十時近くになることもあり、宿題をする時間もない。もうあんなきつい思いはしたくないと言った者もいた」と、心情を説明した。
このような現象は、他の競技でも同様に見られる。中国中学駅伝の強豪校である三原市立三原五中。陸上駅伝部監督の登木治臣教諭(39)には、苦い思い出がある。「同校に赴任した六年前、最初に受け持った生徒に徹底して練習させましてね。ほとんど休みを与えなかった。それでも結果は出なかった」
| 真剣勝負 生徒に感動 |
|---|
登木監督の後悔は、勝てなかったことではない。卒業していった六人の選手のうち、高校を通して競技を続けた生徒が一人だけだったことである。「燃え尽きさせてしまった。やり過ぎたと思った」と言う。
以後、練習は週五日とし、生徒が塾へ通うための休日も設けた。しかし、勝利を目指すという目的は、部活において大切であるという信念に変わりはない。「勝ったときの喜びや、負けたときの悔し涙などは、真剣に勝利を目指さないと生まれない。生徒たちにも感動が残らない」
中学で陸上をやめる四人の三年生部員も、「精いっぱいやったことは貴重な経験になった」と口をそろえた。
小学生のスポ少の大会では、トーナメント制からブロック制にして、優勝チームを一つに決めないという競技が増え始めた。試合機会を増やすことと同時に、勝利至上主義に歯止めをかけることも目的にある。
松江市のミニバスケットボール指導者(38)は言う。「中、高とつなげてやるためにやっているが、勝たせたいのも指導者の性。その気持ちをどうつき合うかでしょう」
生涯スポーツのきっかけづくりか、勝利追求か。そのはざまで、多くの指導者が揺れている。