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学校
 第2部 部活の現状 6 越  境


越境
恵まれた環境を求め、他地区からも児童、生徒が集まる可部南卓球スポーツ少年団

恵まれた環境求め決断

 小学校でやっていた競技の運動部が、地元の中学校にない。あっても指導者がいない―。通学区域に縛られた子どもたちには、選択の自由がなく、現状で我慢するしかない。「もっと上手に」「能力を伸ばしてやりたい」と思う親子は、決断を迫られる。
≪メ  モ≫
学校教育法施行令(昭和28年)
◇就学すべき学校の指定
 市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校または中学校が2校以上ある場合においては、前項の通知(入学期日の通知)において当該就学予定者の就学すべき小学校又は中学校を指定しなければならない

 広島市内に住む会社員(41)は、この春、中学に進む長男の進路で悩んだ。社会人の指導者でもある父親の影響で、長男は小学四年から球技に親しみ、昨年は県代表で全国大会に出場した。「中学で日本一になりたい」という夢を、どうかなえてやるか。頭の痛い問題に直面した。

 地元の中学に部はあるが、指導者がいない。週末は部活が規制され、練習できない。両親は県内上位の中学を訪れ、選手のレベルや指導者の熱意などを調べ、三つの選択肢を与えた。「トップの学校ではレギュラーになれないかもしれないが、頑張って全国を狙う」「二番手の学校でエースになる」「地元の学校でのんびり楽しむ」。真剣に話し合い、判断を任せた。結論は「越境」だった。長男の住所を東広島市に移し、県内一の実力を持つ中学に入ることにした。

 父親(41)は長い目で成長を願う一方で、こうも思った。「情熱のある指導者が少ない。(越境しなければ)培ってきたものが台無しになり、才能があっても埋もれてしまう」

指導者不足など要因

 広島市安佐北区の可部南卓球スポーツ少年団。地元体協や住民らの支援で、三カ所の練習場所や指導者がそろう。所属する可部中の男子は、全国中学校大会に六年連続で団体出場。恵まれた環境を求めて、学区外や市外から少年団の練習に通う児童、生徒もいる。

 呉市に住む会社員(46)も五年前、長男を地元の中学から可部中に転校させた。二男も昨年から安佐北区に下宿。同少年団で腕を磨く。「呉には卓球のスポ少がなく、中学のレベルも高くない。長男も『思い切りやりたい』と言ったので」。少年団で力をつけた長男は愛知県の高校に進み、今月末の全国選抜大会に出場する。

 同スポーツ少年団の木下明仁総監督akは「選手を育てるには、いい環境、時間、練習相手が必要」と言う。だが、部活は少子化による休・廃部や指導者不足などで環境が悪化。スポーツの越境は後を絶たない。高い目標を抱く子どもと親は、「義務教育」という制約の中で悩み、学区の垣根を超えざるを得なくなる。


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