
| アマスポーツNOW |
|
第4部 変わる部活 11 | 異競技・種目体験 |
|---|
|
| 異競技の重量挙げに挑戦し、全国総体出場を目指す3人の高校生(左から杉内君、小林慎君、小林一君) |
| 埋もれた才能発掘へ力 |
|---|
広島市安芸区にある民間の重量挙げ道場。野球部と掛け持ちや転向した三人の高校生が、バーベルに向かう。「日本では、好きでその競技をやっている場合が多い。好きと適性は違う。学校の指導者は、適性を見抜いてやっていない」。指導する広島県ウエイトリフティング協会の真野正副会長(58)は、埋もれた才能の発掘に力を注ぐ。
真野副会長は過去に、全国高校総体の優勝者や五輪選手を育てた経験がある。現在は、広島工高の重量挙げ部と野球部員の筋力トレーニングを指導。昨年、野球部の新入生の中から、素質を見て勧誘した。
二年の小林一成君(16)は「三カ月間迷ったけど、体が小さい。野球でレギュラーは、無理と思った」。一年足らずで、全国高校選抜大会(3月)の53キロ級で4位。今では、全国総体で優勝を狙えるまでに成長した。「記録が伸びるし、自分に向いていると思う。転向してよかった」。同級生の杉内稔君(16)も「野球に未練はない」と言う。
| 指導者の発想転換必要 |
|---|
安芸府中高野球部の三年小林慎哉君(18)も昨年、同協会の大谷隆昭理事長(43)に足腰の強さを見込まれた。週三回、部活の後、道場に通う。「大会では台の上で注目されるし、いい雰囲気。パワーがつき、野球の打席でもより集中できるようになった」
三人は全国総体予選となる県総体に向け、順調に記録を伸ばす。「適性があると、伸びも早い。今は選手と指導者の出会いが、まだ少ない」。真野副会長は、体操選手にも目を付ける。
沼田高陸上部の三年岡山沙英子さん(18)はバスケットボールから、高校で陸上に転向。昨年の国体では、百メートルと走り幅跳びを制覇。百メートル障害や七種競技もこなす。「楽しみも複数。気分転換になる。大会で幅跳びの記録が悪くても、『今度は百メートルで』とか、プラス思考で考えられる」。多種目挑戦の中で、適正を探す。
同校出身で鈴峯女短大講師の明瀬直子さん(24)は専門の陸上に続いて、ボブスレーとビーチバレーにも挑戦する。「精神面や練習法のヒントとか、違う競技から学ぶことの方が多い。毎日が楽しい」と話す。
鈴峯中・高校の陸上部コーチも務める。バドミントンや水泳、山登りなども取り入れ、追い込んだ練習はしない。「卒業後も、スポーツを続けてほしい。部員も陸上以外の時は、ものすごく明るい。自分が陸上一本やりだったら、チャンピオンを育てようとしたでしょうね」
単一競技・種目に固定化した部活。スポーツ選手の能力開発法として定着している欧米型の競技シーズン制など、指導者の発想転換も求められている。