中国新聞

アマスポーツNOW
学校
 第4部 変わる部活 12 企業の支援


企業の支援
元全日本の杉山選手から指導を受ける甲田中ハンドボール部の選手

コーチ役に一流選手

 部活動において、指導者不在は深刻な問題である。そこで、地元の実業団チームの支援で、活動を進めるケースもある。

 広島県高田郡甲田町。ハンドボール日本リーグの強豪・湧永製薬がある人口六千人余りのこの町は、町挙げてハンドボール振興に取り組んでいる。その中心が、湧永チームによる小、中学生への技術指導。現役選手が、定期的に各学校を訪れる。

 甲田中ハンドボール部では、日本リーグ期間中を除いて毎週水、土曜日に選手がコーチを務める。「練習メニューは生徒が考えたもの。われわれは技術面で気づいたことを口にするだけです」と、元全日本の杉山裕一選手(27)。顧問の藤田拡教諭(29)も「生徒も自然に選手の指導を受け入れている。教える教諭がいないだけに、大変助かっている」と言う。

 湧永による学校支援の歴史は長い。一九七七(昭和五十二)年に町内三小学校を対象に「ハンドボール教室」を始めた。二十三年目となる今年も、前、後期に分け、週一回実施。一校当たり三、四人の選手が担当している。中学校は、部のできた九一(平成三)年から、選手を派遣。今年からは、甲田中の生徒の約七割が進学する向原高でも、指導することになった。

地域に貢献 底辺拡大へ

 主力、控えは関係なく、ほぼ全選手が派遣対象となる。「これほど地域と密接に結びついたチームは、他にはないでしょうね」と杉山選手。町教委の大隅郁夫教育長(61)も「競技力も上がり、中学校は全国を狙えるレベルにまできた。湧永さんの支援は町のハンドボール振興に欠かせない」と話す。

 広島銀行女子バスケットボール部も、「バスケットボール教室」を続けている。広島市近郊の小、中学校へ選手、コーチが出向き、教える。「専門の指導者のいない学校や、いてもよりレベルの高い指導を求めている部などさまざま」と白石和男監督(57)。教室は年間五、六回。高校とは、練習試合にも応じている。

 「地域のスポーツ振興は、チームをつくった目的の一つ。底辺拡大のためにも、どんどん活用してほしい」と白石監督は言う。地域貢献の名のもと、企業と学校とのかかわりが広がろうとしている。


Menu next back