中国新聞

アマスポーツNOW
学校
 第5部 組織と周辺 3 体力低下


体力低下
6年生と1年生がペアを組んで遊ぶ可部小の「わくわくタ イム」

運動嫌い 遊びは家の中

 放課後の美鈴が丘小グラウンド。遊び回る児童はほとんどいな い。「昔は場所の取り合いでしたがねえ」。藤本法生教諭(40)は閑 散とした風景を見詰め、寂しそうにつぶやいた。
≪メ  モ≫
広島市の運動能力・体力診断テスト年次別平均
 80年90年95年98年
◇50メートル走(秒)
11歳男子8.88.68.88.92
女子9.19.09.09.20
14歳男子7.77.77.77.64
女子8.88.88.88.89
◇走り幅跳び(cm)
11歳男子326319317298
女子299285290271
14歳男子402410396397
女子316308304290
◇ソフトボール投げ(m)
11歳男子35.533.430.729.73
女子20.718.317.816.55
◇ハンドボール投げ(m)
14歳男子23.822.622.523.62
女子14.713.913.914.14
◇立位体前屈(cm)
11歳男子7.26.15.44.36
女子10.39.89.69.91
14歳男子11.78.58.19.04
女子14.212.312.412.64

 昨年、同小が実施した体力テストでは、五十メートル走やソフト ボール投げ、反復横跳びで、ほとんどの学年が五年前の平均値を下 回った。「ボール投げで、右手と右足が一緒に前に出る子も少なく ない。最近は家の中で遊ぶことが多く、体の動きを遊びの中で学習 できていない」。塾や習い事などで、遊びたくても仲間がいない現 状も指摘する。佐々木隆宏校長(55)は「異年齢間の遊びが少なく、 遊び方も分からない。リーダーも育っていない」と話す。スポーツ 少年団などで運動している児童は、記録的に向上しているが、「で きる子、できない子の差が激しい」(藤本教諭)。体力の二極化が 進んでいる。

 広島市の運動能力テストの集計でも、一九八八年と九八年を比較 すると、六年生の走り幅跳びは、男子が23センチ、女子は14センチ低下。ソ フトボール投げでは、男子が2・8メートル、女子が2・7メート ル下回った。斜めけんすいは、男子が3・4回、女子は5・7回減 った。

体育の授業 工夫が必要

 全国的にも低下に歯止めがかからない状態。二〇〇二年から学校 週五日制に移行すると、小中学校の保健体育授業は、現在の年間百 五時間から九十時間に減少。藤本教諭は一層の運動不足と体力低下 を懸念する。

 広島市安佐北区の可部小は、子どもたちをグラウンドに呼び戻す ために、工夫を凝らす。週三回、始業前の十分間、長なわ跳びやボ ールゲームで体力づくり。五年前から週一回、「わくわくタイム」 も設けた。「思い切り遊ばせてやりたい」と、昼食後の掃除をや め、昼休憩を二十五分から四十五分間に延長する。

 ドッジボールやバスケットボール、縄跳び…。六年生は一年生と ペアを組んで遊ぶ。やんちゃな後輩に六年生は手を焼く。「けられ たり、ボールをぶつけられたり。いじめられる日ですよ」。ぼやき ながらも、ゲームの仕方などを教え、兄や姉のように面倒を見る。 片岡俊宏校長(57)は「人間づくりに役立つし、ストレス発散にもな る。生涯スポーツにつなげる意味でも、体を動かす楽しさを教えた い」と力を入れる。

 広島県教委スポーツ振興課も、運動嫌いが増えている現状を憂 慮。「いかに好きにさせるかが一番の命題。子どもたちが楽しみに するような、体育の授業を作る必要がある」と話す。


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