
| アマスポーツNOW |
|
第5部 組織と周辺 5 | 主体性育てる体育 |
|---|
|
| 生徒が順番で、グループの仲間に技術始動をする安芸府中高の体育授業 |
| 生徒が運営 個性伸ばす |
|---|
「やらされる授業」ではなく、「生徒がつくる授業」を―。広島 県安芸郡府中町の安芸府中高は、体育の選択履修で、主体性を育て る授業を展開している。
三年生が対象で、サッカーやバレーボール、テニスなど7競技を 用意。前、後期に分け、各自が屋外と屋内競技を選択する。授業は 前後期とも各十二時間程度。五〜七人単位に分かれた各班は最初の 一時間で、競技の指導書などで競技ルールや練習法などを調べ、全 体の進行メニューを作成。さらに単元ごとの具体的な学習計画案を つくる。教員は提出された計画案に対して助言。不十分な場合は練 り直しをさせる。
計十時間の実技では、生徒が単元ごとに交代で先生役を務め、自 分が作成した計画案を基に、授業を進める。テニスではラケットの 握り方から始める班や、いきなりストローク練習をする班もあり、 進行は自由。単元ごとに段階に応じたスキル(技術)テストも行 い、達成度を生徒が自己採点する。
テニスを選択した柿川智美さん(17)は「自分が何をやらせたいの か、伝えるのが難しい。先生をやるのはつらい」。別の生徒は「教 わる側の倍の知識がないと教えられない」と言う。
| 実技偏重改め総合評価 |
|---|
前半の五時間を終了後、反省をして後半五時間の計画を練り直 す。最後は班の対抗戦を行い、試合形式や審判の配置なども、生徒 が企画、運営する。
実技能力を中心に、生徒を評価してきた日本の体育は、スポーツ 嫌いを生む一因にもなってきた。体育主任の中島仁教諭(45)は「実 技の点数は低い。計画案の中身や授業の進め方などの評価を高くし ている」。一、二年が「4」の評価でも、三年で「9」に上がるこ ともある。生徒たちは「実技が苦手でも点が取れる」「案を練るこ とで、自分の力になる」「評価基準を自分たちでつくるので、やる 気が違う」と好評だ。
中島教諭は授業の狙いをこう話す。「スポーツはプレーするだけ でなく、見たり、応援する楽しさ、大会をサポートする喜びもあ る。トータルにスポーツを見ないと、かかわる人も減る。社会に出 て、地域のリーダーになった時、役立つようになれば」と願う。
十一年目を迎えた同校の選択履修。国際科の生徒が海外留学で得 た体育体験も生かし、仕組みをつくってきた。岡本正之校長(54)は 「主体性を育てることは、個性を伸ばすことにもつながるのでは。 生徒参加の授業設計を、他の教科にも広げていきたい」と話した。