
| アマスポーツNOW |
|
13 | 経営戦略 |
|---|
|
| 社会貢献を目的に、活動を続けているオムロンの女子ハンドボール |
| 社会貢献に力を注ぐ |
|---|
景気の停滞で、部を消滅させたり、スポーツ協賛から手を引く企業が多い中、スポーツを会社の経営戦略の一つの軸として組み入れ ている企業もある。日本リーグ十度優勝の女子ハンドボール部を持 つオムロン(本社・京都)である。
一九九〇(平成二)年、オムロンは二十一世紀の企業のあり方を まとめた「長期経営構想」を策定。その中で、企業スポーツの位置 づけを三つに区分し、体系化した。一つは社員の連携、連帯を目的 としたもの。二つ目は、広告宣伝を含めたスポーツイベントへの支 援や参加。三つ目は、社会的に意義のある大会への支援、社会貢献 である。スポーツを経営戦略の一つとしてとらえる考え方は、当時 では画期的といえた。
社外を対象にした第二、第三の柱は、特に力を注いできた。アメ リカンフットボールのXリーグ、ヨットのアメリカズカップや、ル ・マン24時間耐久レースなどモータースポーツに協賛。大分の国際 車いすマラソン、京都の車いす駅伝には、資金協力や社員をボラン ティアで派遣し、大会を定着させた。これらのスポーツ界への貢献 で、企業イメージは大きくアップした。
| 経費削減へ運営見直し |
|---|
「活動の根底には、いかに社会還元できるかという企業理念があ る」と、本社広報・渉外室の植田誠担当課長(58)は言う。その中心 にあるのが、熊本県山鹿市の女子ハンドボール部だ。「ただ強いだ けでなく、いかに地域に密着し、愛されるチームをつくるか。ハン ドボールを通した貢献の仕方もある」。西窪勝広監督(46)は、存在 意義を説明した。
二十人の部員のほとんどが、ボランティア活動などに積極的に参 加し、地域とのつながりを深めている。「お年寄り家庭への温泉の お湯配りなど、地元の青年会議所とも連携しながら参加させてもら っている」と西窪監督。競技面でも、市内の各地域を巡回してハン ドボール教室を開催。競技人口の拡大に務めている。 西窪監督は「地域の人々との距離が近くなれば、簡単にはチームは なくならない。地域のシンボルとなれるよう、努力していきたい」 と話す。
この十年間で、経済状況は激変した。しかし、「会社の方針が今 後、大きく変わることはない」と植田担当課長は言う。企業理念で ある社会貢献。オムロンのスポーツ支援は、経営者の考え方に左右 されやすい企業スポーツの危うさを、逆の意味で浮き彫りにしてい る。
「うちでもチームを維持できている。多くのチームがなくなった
が、休、廃部にしなくても済んだチームもたくさんあったはず」
と、今井代表は言い切る。広告塔としての価値を失いつつある企業
スポーツ。撤退が相次ぐ現状は、チームの存在意義が変わりつつあ
ることの現れでもある。