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ニッポン衰退


ニッポン衰退

休廃部続きレベル低下

 「シドニー五輪は、いろんな意味で大変な五輪になる」。日本オ リンピック委員会(JOC)の小掛照二副会長(67)は、厳しい表情 で予測した。五輪が不振に終われば、大阪五輪(二〇〇八年)誘致 のイメージダウンは避けられず、企業の一層の「スポーツ冷え」も 懸念されるからだ。

 企業チームの相次ぐ撤退は、日本の競技力に陰を落とす。前回の アトランタ五輪は、柔道の金メダル3個に終わった。九八年のアジ ア大会でも、球技の優勝は1種目。選手団の軸となる企業チーム・ 選手の実力低下が浮き彫りにされた。
日本の夏季五輪メダル獲得数(戦後)
        
アトランタ (96年) 14
バルセロナ (92年) 11 22
ソ ウ ル (88年) 14
ロサンゼルス (84年) 10 14 32
モスクワ (80年) 不参加
モントリオール (76年) 10 25
ミュンヘン (72年) 13 29
メキシコ (68年) 11 25
東  京 (64年) 16 29
ローマ (60年) 18
メルボルン (56年) 10 19
ヘルシンキ (52年)

 JOC・二十一世紀対策室の高橋勝馬室長(55)は「アジア大会の 代表約千人の平均年齢は二十七歳。企業が選手の面倒を見てくれな いと、日本の国際競技力は成立しない」と、深刻に受け止める。

 民間のシンクタンクであるスポーツデザイン研究所(東京)の調 査によると、九一年以後、日本リーグなどに所属するトップクラス の136チームが撤退。中国地方でも8チームが休廃部し、活動縮 小も相次ぐ。

競技団体の甘えも一因

 企業チームは、社員の士気高揚や団結を目的とした福利厚生と、 宣伝媒体という二つの要素が混ざり合って形成されてきた。だが、 競技力の高度化で、選手はセミプロ化。一般社員とのきずなが薄 れ、社内的な基盤を失った。衛星放送などを通じ、世界のスポーツ も身近になった。国民の目が肥え、国内競技の広告価値や集客力が 低下するなど、メリットが薄れてきた。

 筑波大の佐伯年詩雄教授(57)=スポーツ社会学=は「企業チーム はオーナーの好みで自然発生的に生まれ、持つ意味を十分に考えな いまま、経済発展とともに自然成長してきた」。企業経営の中で明 確な位置付けがないまま、長期不況や市場の国際化など時代の荒波 をかぶり、「限界に達した」と言う。

 同デザイン研究所の上柿和生代表(54)は、競技団体の問題点も指 摘する。「企業も、切りたくて切っているわけではない。地域の中 でチームを生かし切れず、企業の努力にこたえてこれなかった責任 は大きい」。高橋室長は「JOCも企業に頼り切り、現状への認識 が欠如していた」と言う。

 トップを目指す次世代は、受け皿不足で選手生命を絶たれるケー スも生まれる。「こうした現象が日本のスポーツ構造に、じわじわ 効いてきている」と上柿代表。学校と企業に依存した日本のスポー ツシステムは、根底から変革を迫られている。


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