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社会人野球
会社の休部決定で、クラブチームとして活動している光シーガルズ

伝統チーム、相次ぎ消滅

 今年二月に静岡県熱海市であった日本アマチュア野球連盟主催の 指導者研修会。テーマは「社会人野球の活性化」だった。討議の中 で、NKKの村上文敏監督(37)は、指導者たちの切実な声を耳にし た。「いかに勝つかではなく、いかにチームを存続させるかという 話しに終始。どこも厳しい状況にあることを知った」

 社会人野球は、企業スポーツのシンボル的存在だった。しかし、 他競技に比べ経費がかかることから、不況によるリストラの影響を 大きく受けた。都市対抗の優勝経験のある住友金属、プリンスホテ ル…。最近十年間で、全国で五十以上の企業が撤退。中国地方で も、王子製紙米子など三チームが休、廃部、活動縮小に追い込まれ た。

 都市対抗の常連であるNKKも揺れている。バレーボール部、バ スケットボール部など伝統のあるチームが次々と消えた。本社の支 援がある部は野球部だけとなった。「ユニチカのニュースを聞いた りするとゾッとする。(廃部は)人ごととは思えない」(村上監 督)。毎年、一〇l近い予算縮小が続き、採用減から選手獲得も以 前のようにはいかなくなった。

クラブ化、仕事と両立も

 今年七月、二年連続で都市対抗出場を逃した。「来年も出場でき なかったら、という危機感はある。勝つことで、否定的な声をかわ すしかない」。多くの指導者が、悲壮な決意を胸に、今日もグラウ ンドに立つ。

 プロ球界に河本(巨人)、森(西武)などを輩出した新日鉄光が 休部となったのは、一九九四(平成六)年の夏だった。多くの選手 が系列チームなどへ移籍した。残った十二人のメンバーは翌年、ク ラブチーム・光シーガルズを設立。今年、七年目を迎えた。

 岩崎浩二主将(27)は当時、入社四年目だった。「頭の中が真っ白 になった。まさかという感じでしたね」。クラブへの参加を選択し たものの、練習環境は大きく変わった。予算がないため、遠征には 行けず、正午までだった仕事も、通常勤務になった。選手のほとん どが現場に出ているため、全員が集まるのは月に一、二回程度。 「失って初めて、会社の支援のありがたさが分かった」と言う。

 昨年、後援会が設立されるなど、資金面でのバックアップ体制は 整いつつある。「企業の後ろ楯を失うチームは増えると思う。恵ま れたセミプロではなく、仕事もして野球もする。そういうクラブが 活躍できることを、何とか実証したい」。西山茂雄監督(43)の言葉 に力がこもった。


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