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変わる選手意識


変わる選手意識
移籍した本田技研で再起を誓う早田選手

会社より個人を優先

 不況による部の休、廃部や経費削減など企業のスポーツ離れが進 む中、会社に対する選手の意識も変わりつつある。会社への忠誠心 よりも、個人のために競技する。そんな考えの選手が増えてきてい る。

 鐘紡のエースとして活躍し、日本長距離界の期待の星であった早 田俊幸選手(32)は今年五月から、本田技研の陸上部員となった。鐘 紡を退社して三年。アラコ、ユニクロを経て、四社目となった。 「自分を高められる練習環境を得た」と再起を誓い、練習に励んで いる。

 早田選手が鐘紡を退社したのは、一九九七(平成九)年四月。 「チームが駅伝を志向し、マラソン練習に専念できない」のが理由 であった。「行き詰まりを感じていた。もちろん、育ててもらった 感謝の気持ちはあった。でも、選手が向上心を失ったら終わり。環 境を変えるしかないと思った」。ランナーとしての思いを尊重した 決断だった。

弱い立場 拍車かける

 日本実業団陸上競技連合は、有力選手の引き抜きを防止するた め、移籍選手が実業団主催の大会に出場するには、前所属チームの 「円満退部証明書」が必要との規約を設けている。早田選手はその 規約に引っかかり、望んだチームへの移籍がなかなかできなかっ た。「筋を通して退部できればよかったと、反省している。ただ、 すべての選手が、自分に合うチームに入れるとは限らない。競技者 として譲れない線もある。もっと自由に移籍が、認められるような れば」と、思いを語った。

 企業内再編で、多くの運動部が整理縮小されたNTT。昨年の世 界選手権個人ダブルス2位など日本ソフトテニス界のトップ選手で あるNTT西日本中国の高川経生選手(27)も、はっきりと言い切 る。「会社のためという思いは、特にない。自分自身のために戦っ ている」

 会社への愛情、感謝の気持ちはもちろんある。しかし、それと競 技者としての思いとは別の話であると言う。「今の競技環境が今 後、どうなるかは分からない。支援がゼロになるかもしれない。だ から、求めてもらえるうちに、よりよい環境へ移籍する選手の気持 ちは理解できる」。企業選手としての危うく弱い立場が、「会社よ り個人」との思いをより加速させている。


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