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地域
 第2部 総合型クラブ 1 理想像


競技力偏重から脱皮
理想像

 「地域スポーツの夜明けですよ」。みつやの里スポーツクラブ (広島県高田郡吉田町)の新本正則会長(71)は、文部省のモデル事 業で総合型クラブの育成に取り組む意義をこう表現した。欧州のク ラブを手本に、「だれもが、いつでも、どこでも、好きな競技を楽 しめる」環境づくりを目標にする。明治以来、競技力向上に偏った スポーツ界の仕組みを大転換させる狙いがある。
≪メ  モ≫
広島県の地域スポーツクラブ・ボランティア指導者実態調査(99年度、県教委)
◇総合型クラブの特徴の認知について(サンプルは1162クラ ブ、指導者3647人。数字は%。不明は除く)
 クラブ指導者
知っている29.137.9
知らない64.659.2
◇総合型クラブの必要性について(同、クラブには移行に関して 質問)
 クラブ指導者
必要と思う18.367.7
必要と思うが17.99.7
時期尚早
必要と思わない24.71.8
わからない33・119.3

 文部省は九月、二十一世紀に向けた振興基本計画を発表した。重 点施策として、二〇一〇年までに全国の市町村に最低一カ所、総合 型クラブの設置を目指す。モデル事業は一九九五年にスタート。年 間千三百万円の事業規模を限度に、国が三年間、半額を補助する。 既に全国で六十四市町村、中国地方では十二市町が事業を実施。将 来は住民による自主運営を目指す。

 総合型の推進には、二つの背景がある。学校は二〇〇二年から完 全週五日制に移行。土、日曜日のスポーツ活動の受け皿づくりが急 がれる。高齢化が進む地域でも、健康づくりや多様化するニーズへ の対応が求められている。

健康づくり・活性化狙う

 同省生涯スポーツ課の坂元譲次専門官(47)は「総合型はスポーツ を媒介に、元気な社会をつくるためのもの」と強調。住民の主体性 を生かし、地域コミュニティーの回復と活性化を狙う。

 体協や競技団体にも、意識改革を求める。「『みんなのスポー ツ』に消極的で、住民が見えていなかった。閉ざされた学校も地域 に一歩を踏み出し、教員も知識や技能を生かしてほしい」と、連携 を呼び掛ける。

 高い理想とは裏腹に、現実は厳しい。本年度からモデル事業を始 めた広島県山県郡豊平町は十月、町体協の役員会で趣旨を説明。文 部省が制作したビデオで、フランスやドイツのクラブを紹介した。 各種競技施設やクラブハウス、レストランが整備され、地域交流の 場として多世代がスポーツを楽しむ姿に、「夢のような話じゃの う」とため息も漏れた。

 欧州のクラブは五十年、百年をかけ、住民自らが熟成させてき た。日本は学校、行政主導でスポーツ教育や振興が図られ、住民は 受け身だった。日本生涯学習総合研究所の富永倫彦事務局次長(54) は「(主体性など)社会教育が未成熟な中で、同じものが機能する かどうか疑問」と言う。

 尾道短大の平松携教授(56)=スポーツ社会学=は「欧州でクラブ が発達したのは、日照時間が短く、運動をしないと病気になり、健 康が守れない風土もある」と指摘。土壌が違う日本に、どう根付か せるのか課題は多い。


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