中国新聞
2001/11/22
支配力を誇示した「面倒見」 断ち切れ 暴走の連鎖
  厳戒の風景
  (上)
捜査員監視 気にせず

 厳戒の「胡子(えびす)大祭」(えびす講)が終わった。祭り会場に近い広島市中心部の公園は、期間中の十八日から二十日までの連夜、特攻服に覆面などのいでたちで気勢を上げる暴走族の少年たちに占拠された。「面倒見」の暴力団組員らは、支配力を誇示するように円陣に向け、指示を出した。それを取り巻く大勢の市民…。初冬の夜そのままの、寒々とした光景だった。祭りはいったい、だれのものなのか。

(暴走族取材班)

  えびす講初日、厳戒態勢の県警の警備陣の前を練り歩く暴走族少年たち(18日午後10時、広島市中区の中央通り)  

 「わしもおやじ(親分)の看板、背負って来とるんじゃ」。えびす講の最終日が明けた二十一日未明のアリスガーデン(中区)。ある暴走族の面倒見が、別の系列の組織を束ねる面倒見とにらみ合った。ともに指定暴力団共政会系の別々の組の構成員である。

 暴走族の少年たちが、祭りのメーン会場の中央通り付近を練り歩くことをめぐって、面倒見間の話し合いがこじれた―。広島県警などによると、そんないきさつのトラブルという。

 「暴力団同士の話じゃけえ」。県警の捜査員にそう言い捨て、話し合いを続ける面倒見たち。「筋を通せ」「メンツがある」。仲裁した別の組員が絡み、とうとうもみ合いになった。

 トラブルは捜査員の制止で、程なく収まった。そのわきで、配下の暴走族たちが、かたずをのんでいた。目には恐怖や不安が浮かんでいた。

 最終日、一部の暴走族が中央通りなどで円陣を組む機会をうかがっていた。それを「やる」「やらない」で起きた組員同士のトラブルは、幾重にも取り囲む捜査員、市民の監視の中だった。

 面倒見の姿は、祭り期間を通じて目立った。市民をかき分けて姿を現した面倒見の元へ、暴走族たちが競うように駆け出す。大声で自己紹介する「声出し」の休憩、解散の時間まで指示を仰いだ。

 二日目。面倒見が特攻服姿の十数人を引き連れ、商店街を歩いた。所属する組の幹部にあいさつさせるためだった。あいさつを受けた幹部は一瞬で通り過ぎた。道中、祭りの参拝者や買い物の家族連れは集団を避け、道の両わきを歩いた。

 県警は今年のえびす講に連日、過去最多の千百人の厳戒体制で臨んだ。アリスガーデンから歩行者天国が見送られた中央通りに出る交差点をはじめ、制服、私服の警察官の一団は、至る所で市民の目に触れた。

 「これは祭りの風景ではない」「物々しすぎる」…。そんな声も聞かれたが、中央通りを舞台にした二年前の衝突のような最悪の事態はなく、逮捕者もゼロだった。

 竹花豊本部長は「彼らの行動を抑制し、暴走族対策を一つ前進させた」と警備効果を強調する。

 しかし、多くのグループが、面倒見から「もめるな」との指示を受けていたのも事実だ。ある面倒見は「どこも不景気だから、これ以上こじれて祭りがさびれたら困るでしょう」と明かした。

 今年のえびす講で、暴走族の背後の暴力団の存在は、より鮮明になった。

暴走族に関する情報、ご意見をお寄せください。
  ■ファクス 082(236)2321   ■電子メール shakai1@chugoku-np.co.jp


Menu Next