中国新聞
2001/11/23
少年あおる「期待族」 断ち切れ 暴走の連鎖
  問われる「市民」
  (中)
警備 人垣対策に苦慮

  暴走族の集会を囲むようにできた人垣(18日午後9時、広島市中区のアリスガーデン)  

 午後七時すぎ、「胡子(えびす)大祭」(えびす講)会場周辺の空気が一変した。暴走族や、「チーマー」と呼ばれる非行少年たちは祭りの期間中、日が暮れるのを待ちかねたように、異様な服装で練り歩いた。周りには、金や赤茶に髪を染めた若い男女が群がる。

 だぶついたジーンズ、厚底ブーツ…。その多くは、暴走族などの集会場と化した広島市中区のアリスガーデン、袋町公園に向かった。多い時には数百人に上り、円陣を組む暴走族などの数をしのぐほど。ほとんどが二十歳代までの若者だ。

 「面白いけえ、見物に来た」。中区の会社員男性(20)は、アリスガーデンの様子を携帯電話の写真で知人に送信していた。「現役」と言葉を交わす元暴走族メンバーの姿も絶えない。

 午前零時すぎ。円陣を眺め、たばこをくゆらせて談笑する若い女性の傍らのベビーカーで、幼児がむずかっていた。「どうなっとるんか…」。私服の警察官がまゆをひそめた。

 「やっぱり、いっぱい人がおる前でやりたい。目立ちたいけえ」。歩行者天国での「引退式」を望んでいた暴走族少年(18)の説明だ。ホコ天は二年続きで見送られたが、公園でも市民が人垣をつくり、少年たちの自尊心をくすぐった。

 二年前の警官隊と暴走族の衝突では、初日から市民が「期待族」「あおり族」に変ぼうした。「やれえ」。声を上げ、警察官に物を投げた。「今日は何時から?」。二日目以降、多くの警察官が質問された。

 今年、広島県警は連日、千百人の警備体制を敷いた。幹部の一人が言う。「二百〜三百人の暴走族だけならここまで大掛かりにしない。衝突現場で、群がる人の波をどう整理し、遠ざけるか。大きな課題だ」

 「市民対策」が大きなウエートを占める暴走族対策の現実。佐賀、愛媛の両県では、暴走へのあおり行為などを罰する条例づくりが進む。

 円陣を組んで、不安げな目で面倒見の指示を待ち続ける暴走族。「何かを期待して」、その周りを取り巻く若者たち。「二年前(の騒動)はテレビでしか見てない。生で見たい」。介護士の女性(21)は、あっけらかんと言った。

 アリスガーデンの前には「お好み村」がある。県外からの旅行客も、大勢行き交う。大阪府高槻市の会社員男性(29)は「大都市の中心部では、こんな光景は見られない。ほかに遊びがないのでは」と皮肉を込めた。

 「平和都市広島で、この状況は残念」。えびす講を前に発足した広島市暴走族対策推進本部の本部長、森元弘志助役は、公園の片隅で苦渋の表情を浮かべていた。「行政も頑張る。でも、市民みんなが関心を持って、今の状況を考えてほしい」。最終日、市は「離脱」などを呼び掛けるチラシ千枚を、暴走族以外の市民にも配った。

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