2001/12/12
しゃれたレストランやブティックが集う広島市中区の並木通りかいわい。土曜日には夜ごと、暴走族や「チーマー」と呼ばれる非行少年グループが集会を開き、OBたちの改造車が爆音をたてて徘徊(はいかい)する。活動は人通りの少ない深夜から未明にかけてだが、深夜営業で観光客も多いお好み焼きビル、そして地域に根差す住民たちも、傍若無人な暴走族たちと無縁ではいられない。 (暴走族取材班)
並木通りに連なる「ひろしまお好み村」(二十六店舗)。本来なら、かき入れどきの土曜日の午後九時すぎから、家族連れや観光客がガクンと減る。ある店主(55)は顔を曇らせて言った。「あれら(暴走族)が集まったら、だめじゃね」 その時間、北側のアリスガーデンでは、特攻服やユニホームに身を包んだ暴走族、チーマーたちが集会を開く。三、四年前から続く光景だ。並木通りからは暴走族OBたちの改造車が次々に流れ、「村」の前をそぞろ歩く市民のそばをかすめる。 ビルの出入り口や外部から直接二階へ上がる階段で、暴走族が座り込んだり、特攻服に着替えたりすることも…。警備員が階段に水をまいても、効果はなかった。 広島お好み村組合の河口富晴代表理事長(68)は、ビルの入り口に立ててあった暴走族の旗を触っただけで、少年たちに「何しょうるんや」とすごまれた。「観光客ならなおさら、怖くて入って来れんよ」。広島の食の名所が、暴走族に奪われかねない不安に駆られる。 お好み村の隣には今年五月、もう一つのお好み焼きビル、「お好み共和国ひろしま村」(十五店舗)が建った。ある店に入ってきた観光客は、暴走族の集会に出くわし「広島ではまだ、こんな時代遅れのことをしているんですね」と珍しがった。ビルの窓からアリスガーデンの様子をカメラで撮影する観光客も多い。 一方、面倒見に連れられるなどして暴走族たちが食事に来ることもある。客だから、むげにはできない。「他の客が怖がるので、特攻服は脱いで店に入るよう言うとるんじゃが…」と「共和国」のある店主(48)は複雑な表情だ。「店だけでは解決できんよ。街全体の問題。公園の使用を規制する条例なんかが必要じゃないんかね」と訴えた。 大勢の暴走族と「期待族」まがいの市民が公園を占拠した十一月の胡子(えびす)大祭(えびす講)。期間中は、これまでにないダメージだった。閉店時間を繰り上げた店もあった。「今後の対策について、警察に相談せにゃあいけんか…」。お好み村の河口代表理事長の悩みは深い。
| ||||||||||||||||