中国新聞
2001/12/13
改造車徘徊 わが物顔 並木通りの憂うつ
  脅かされる「住環境」
  (下)
「静けさ返して」 寝室に二重窓

  並木通りを通る改造車の騒音を遮るため、寝室に取りつけられた二重窓(広島市中区袋町)  

 「静かな住宅地を取り戻したい」。広島市中区袋町のビル最上階に住む主婦(40)は、防音対策で二重サッシにした寝室の窓を閉めながら訴えた。

 深夜、並木通り周辺の路地は、暴走族OBなどの改造車の「周回道路」と化す。特に土曜日は渋滞ができるほど集中し、野太い排気音が建物の窓を揺らす。「体調が悪い時はこたえます。街なかにも人が住んでいるのに…」。主婦はこぼす。

 並木通り沿いの袋町、中町、三川町、新天地の四町内。住民基本台帳によると、九百六十九世帯、千五百十人が暮らす。低層階を貸店舗、高層階をオーナー宅にしたビルが目立つ。

 ある会社社長(60)は昨年二月、通り沿いのビルを建て替えた。最上階の寝室は、通りから離れた配置にした。壁や扉に「音楽スタジオ並み」の防音策を講じた。「商業地に住む以上、にぎやかなのは仕方ないが、いまのお調子もん(暴走族)は、目立ちたいばかり。加減を知らん」と腹に据えかねている。

 このところの地価の下落に伴い、郊外から利便性の高い市中心部のマンションなどへ移り住むライフスタイルが目立ち始めている。「並木通り」も人気の住空間だが、そのブランドイメージと裏腹に、夜の顔は荒れる。

 「VIP(ビップ)族」。ビップカーと称される国産の高級車を改造し乗り回す若者たちは、そう呼ばれる。暴走族OBも多く、暴走族と同様、グループに分かれ、暴力団組員などの「面倒見」が存在する。

 辺りを車で徘徊(はいかい)し、女性に声を掛ける。急発進、信号無視は当たり前。擦れ違う車同士がその場で止まり、道をふさいで話をする光景も見られる。背後でクラクションを鳴らした一般のドライバーが、車外に引きずり出され、袋だたきに遭う場面を目撃した住民もいる。

 近くの主婦(53)は「夜間の外出は、極力避けています。けんかの声がした翌朝、路上に血こんが残っていたことも。直接、注意なんてできません」とおびえる。

 改造車を駆る二十代の若者に、住民への迷惑について尋ねると「無視、無視」と意に介さない。「二人連れ(の女性)がおったで」。仲間の声を聞き、エンジンをふかして走り去った。

 並木通りは三年前から、暴走族対策として毎週金曜日と土曜日の午後十一時から翌午前五時までが全面通行禁止になった。一方、わき道からの横断は規制がなく、改造車の周回コースになっている。

 広島中央署の高橋若衛交通官は「暴力団の関与も見過ごせないので、あらゆる違法行為を取り締まる。道路管理の在り方などについても、市と協議したい」と話している。

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