2001/12/22
二十一日、一枚の感謝状が、広島県府中町の和多利義之町長から元暴走族の少年の手に渡された。「府中町奉仕会様」とある。荒れる少年たちに地域で役割を与えよう、と結成され十年。祭りの警備や清掃奉仕などに取り組んできた。「地域での信頼を得られた」。メンバーの喜びはひとしおだ。 (暴走族取材班)
午後七時、和多利町長や町議会の大谷智也子議長たちが、奉仕会の加入する「安芸府中青年連合会」主催の忘年会が開かれている町内の焼き肉店を訪れた。 「十代の若者に参加を呼び掛け、清掃奉仕活動など地域社会への貢献した功績は顕著であります」。和多利町長が読み上げた感謝状は、この日集まった約四十人を代表し、内装工の少年(18)が受け取った。 暴走族のメンバーだった少年は「大人に褒められるのも悪くない」と照れた。「掃除は疲れるけど、自分もごみを捨てないようになった。会に入って変わったと思う」。他のメンバー全員も、ボールペンなどの記念品を町長たちから受け取った。 奉仕会は現在、町商工会の青年部副部長を務める会社社長吉川誠さん(33)が「暴走族を排斥するばかりでなく、地域での役割を見つけてやろう」と呼び掛け、一九九一年に設立した。 中心メンバーは、かつて暴走族に入っていた少年たち。いずれも建設業などに従事している。 商店街で十月に開く「かっぽ府中町民まつり」では、雑踏整理やごみの回収に汗を流す。昨年七月には、キャンプ場がある町内の「みくまり峡」の清掃をした。 神社の夏祭りでは深夜、暴走族メンバーたちに帰宅を促す夜回りをする。「先輩」の指導だから、効果は大きい。暴走族からの離脱の相談、家出少年の捜索…。メンバーはネットワークを生かし力を尽くす。 和多利町長は「長年目立たないところで、町を支えてくれた。一人ずつに感謝状を贈りたい」。吉川さんは「暴走や非行は町のイメージダウンに直結し、活性化を阻む。これからもメンバーを増やしていくので、地域で見守ってほしい」と話している。
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