2002/01/12
十八歳のメンバーが暴走族を引退する胡子(えびす)大祭(えびす講)が迫っていた昨年の秋。広島市中区のアリスガーデンで集会を開いていた少年たちに、「面倒見」の指定暴力団共政会系の組員が言った。「今年は組にだれが入るんや?」 この言葉を聞いた少年(18)は証言する。「グループから毎年一人は組員を出す決まりがあった」。面倒見の組員も、このグループの出身である。 結局、少年たちは「答え」をうやむやにしたままえびす講を迎え、引退した。だが、「いつでも事務所に顔出せや」と言われている。 「暴力団に深入りするのは怖い」と、少年は明かす。一方で「面倒見」という存在にはそれほど悪い感情は持っていない。 「金はあるんか?」。時折、そんな言葉を掛けてくれ、お好み焼きを食べさせてもくれた。小遣いや食事の額以上に「上納金」を納めていたのも事実だ。 でも、盗みやけんかを重ね、親元を飛び出して友人宅を渡り歩いていた身には、「心配してくれる数少ない大人」だった。 別の暴走族の元リーダーの少年(18)は「自分を買ってくれたみたいで」と、面倒見の組員との付き合いを振り返る。 グループの中から自分だけが呼ばれ、用事を言いつけられる。組員に連れられて人と会ったり、他の組員へ届け物をしたり。学校や家庭、地域になかった「役割や居場所」を与えられ、自尊心がくすぐられた。 しかし、関係が親密であればあるほど、広島県警が暴力団の「準構成員」と認定する可能性は強まる。「少年であっても暴力団の協力者に変わりない」(捜査幹部)からだ。 暴力団と暴走族―。「支配関係がここまで確立したのは、ここ数年」というのが県警などの見方だ。 「結局は金よね」。ある捜査員は暴力団が暴走族に寄生する要因を指摘する。「不景気の中、特に若い組員にとって、従順な少年は金集めの格好の道具」というわけだ。 さらに「自らの配下として暴走族グループを抱えることで、組織内での地位を高める狙いがある」との見方もある。組員への勧誘は、その延長といえる。 広島県警は昨年、県内の暴走族の経験者九人が共政会(広島市)に入り、二人が同じ指定暴力団の浅野組(笠岡市)に入ったのを確認した。 (「上納のやみ」おわり)
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