中国新聞
2002/02/15
広島市条例の課題 罰則設置 異なる対応  
(下) 宮城・千葉県
 
実態踏まえ工夫

  仙台市街地に宮城県警が設けた検問。暴走族のオートバイが猛スピードで突破した(9日午前4時半、青葉区一番町)  

 未明、けやき並木を揺らす爆音が近づいてきた。二十台ほどの二輪車の集団が、交差点での警察の検問を避けるように左折し、逃走する。一群から飛び出した数台が検問に突入。猛スピードですり抜けた。冬の週末、杜(もり)の都、仙台市の中心部で見た光景である。

 「暴走は平日もだよ」。宮城県警の幹部がため息をつく。昨年末現在、把握した県内の暴走族少年は二十九グループ、三百二十七人。推定で四十二グループ、三百十人の広島県とほぼ同規模だ。大半の勢力が広島同様、県庁所在地の仙台市に集中。少年たちから「会費」を徴収する暴力団組員らの影が色濃い点でも、両県の状況は似通っている。

 一九九九年には、宮城県の人口に占める暴走行為参加人数(一万千百七十人)の割合が0・48%と全国一に。不名誉な数字を被る中、その年の四月、全国の都道府県で初の「暴走族根絶促進条例」が施行された。それをモデルに、一月末までで二番手の広島をはじめ、八県で条例ができた。

 施行から三年近くたち、宮城県総合交通対策課の加藤寿一副参事は「暴走行為を許さないという機運は育った」と強調する。暴走族に関する一一〇番件数が施行年を境に一・五倍に増えたのも「県民の『通報の責務』を定めた条例効果」とみる。

 それでも、仙台市が暴走の舞台となっている実態は変わらない。市民生活課の加藤富男交通安全係長は「大事なのは行政の役割分担。自治体は警察に取り締まり強化を期待する一方、自らやるべきことを考えなければ」と言葉を継いだ。

 今、市側が力点を置くのは、条例に基づいて導入した暴走族相談員制度の強化、中学・高校での暴走族加入阻止教室の開催などだ。

 一方、条例への罰則規定の新設について、加藤係長は「集会やたむろ行為、あおり行為といった問題は少なく、既存の道交法で対処できる」と否定的だ。「努力規定」を列記した現行条例で、暴走の病理の根治を地道に目指す。

 そうした方針とは対照的な条例が、昨年十二月に制定された「千葉県暴走族追放促進条例」である。道交法が及ばない公園や駐車場などでのバイクの急回転、空ぶかし行為などを、全国で初めて五万円以下の罰則対象にした。

 「努力規定を並べただけの条例はつくりたくなかった」。条例案を議員提案した鈴木良紀県議は胸を張る。昨年春から超党派で検討。県警、地検と協議を重ね、議会内の慎重意見を克服し、賛成多数で可決した。

 施行はこの四月から。「効果は正直、分からない」と鈴木県議は言う。「とにかくやらねばならない状況があった。結局、住民のニーズと暴走族の実態に合った条例を定めていくしかない」

 異様な服装で市街地の公園を占拠し、市民に不安を与える。その背後に、指示や命令を出す「面倒見」が公然と控える。「広島モデル」が念頭に置くべき実態である。

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