2002/03/02
広島市の暴走族追放条例案をめぐる市議会での論戦が一日、始まった。公園などを占拠する暴走族の迷惑行為を罰則の対象にした前例なき「広島モデル」。だからこそ、論議を深める必要がある。「憲法が保障する集会の自由は」「一般市民を規制する恐れは」―。本会議の質疑、答弁などを基に、主な論点を整理してみた。 (暴走族取材班)
●集会の自由は保障されるのか 条例案では、公共の場所で許可を得ず、公衆に不安や恐怖を与える集会を禁止行為としている。市側は「既存の公園条例でも、集会は許可が必要。集会そのものを規制するわけではなく、憲法に抵触しない」と説明した。 ●一般市民への拡大解釈の危険は 特異な服装で円陣を組み、旗を立てるなど威勢を示した場合、市長が中止・退去命令を出す、と条例案は定める。質問では「『特異な服装』は、判断する人間の主観に左右されかねない」との指摘もあった。 市側は「人に不安を与える特異な服装は、およそこう思う、という社会通念がある」との見解。「刑罰の対象は、中止・退去命令に従わない場合で、拡大解釈される余地はない」とした。 ●懲役規定は実効性があるか 暴走族のほとんどが少年法の対象である未成年。家裁送致後、検察に逆送致され一般の刑事裁判で懲役刑の判決を受ける可能性は、よほど悪質なケースでないと考えにくい。 市側は、刑罰よりも少年の「更生」を重視する立場を前面に出しながら、少年法に基づいても少年院送致などの処分が下される、などと説明。一方で、背後の「面倒見」が条例違反を指示するなどした場合、刑法の教唆容疑も適用でき、条例案の懲役を含む罰則規定が生きてくるとの見方を示した。
条例案の論議は入り口に入ったばかり。警察庁の「暴走族への加入等防止施策検討懇談会」の座長を務めた小林逸太東海大教授は「広島市の条例案から、地域の抱える深刻さが読み取れる」と内容を評価しながら「事実上少年が対象となる条例に、懲役の既定に設ける点などは、時間をかけた検討が必要。地域や家庭、学校をはじめ、市民の合意形成が前提だ」と指摘している。
| |||||||||||||||||||