中国新聞
2002/04/02
断ち切れ 暴走の連鎖  
環境整え増長許さぬ
  広島市 暴走族追放条例スタート

不正改造車に油不売 コンビニ 「たまり場返上」

 広島市の暴走族追放条例が一日、施行された。条例は公園などでの集会、たむろ行為を罰則付きで禁止する一方で「暴走をさせない環境づくり」に向けた関係業界の責務も定めている。各界の取り組みや課題を聞いた。

(暴走族取材班)

 《第七条》自動車などの修理、販売業者は、暴走行為を助長させないよう努める。

 広島県自動車整備振興会の豊田政樹専務理事 不法改造に手を貸さないよう指導しているので、改造車の修理を断る業者もある。一方で、盗んだ二輪車を自分で改造する場合も多い。業界の対策には限界があるが「不法改造を許さない」という認識が、市民に広がるよう期待している。

 《同》燃料業者は不正改造車などに燃料を売らないよう努める。

 県石油商業組合の北山清仁専務理事 県の暴走族追放促進条例に伴い、二年前から県内の約八割のガソリンスタンドで、不正改造車への不売運動を展開。ポスターの掲示や従業員向けのマニュアル配布に取り組んできた。顧客アンケートでは、約七割が運動の継続を期待していた。線引きが難しいが、運動を強化したい。

 《第八条》タクシー、トラックなどの運転者は、暴走行為を速やかに警察官に通報するよう努める。

 県タクシー協会の藤原義雄事務局長 鉄パイプで車体を壊されるなど、私たちが業務中に受けてきた暴走族による被害は大きい。会社を通じた一一〇番、暴走族に関する情報提供など、道路を仕事場とする立場から、一層協力したい。

 《第十条》暴走族が集合する場所の所有者や管理者は集合を禁じる掲示をするなどの措置を取る。

 県コンビニエンスストア防犯連絡協議会の奥谷守正副会長 暴走族のたまり場にさせないため、防犯カメラによる監視や店の周りの清掃の徹底、看板などによる明るい照明も効果的と考えている。警察と連絡を取り合い、たむろさせない環境づくりに努めたい。

広島市が「対策室」新設

  広島市教委で、新設された暴走族対策室のプレートを掲げる天川室長(手前)  

 広島市の暴走族追放条例の関連施策などについて、調整役を担う「暴走族対策室」が一日、市教委青少年育成部に新設された。昨年十一月に発足した市暴走族対策推進本部の事務局も兼ねる。

 広島県警から出向した天川詳三室長を含め、二人の専従体制。暴走族からの離脱促進や、加入防止などの関連施策を取りまとめるほか、集会規制の条例を運用する際、県警と連携を図る。

 天川室長は「市の総合力を発揮できる環境づくりに努めたい」と決意を新たにしていた。

 一方県警では、暴走族対策課を衣替えした「暴走族・少年犯罪対策課」が同日、体制を整えて本格的業務を開始。市条例に基づいた違法な集会の取り締まりに加え、暴走族などの少年犯罪の捜査に当たる。

特攻服へ刺しゅう「ノー」 業者に協力求める

 広島市暴走族追放条例は「暴走族の名称などを衣服等に刺しゅうすることで、少年たちの暴走、集会、示威行為を助長しないように」(第七条)と、業者に求めている。

 すその長い上着に、だぶついた作業服風のズボン。「特攻服」と少年たちは呼ぶ。背中やそでには、グループの名や絵模様が縫い込んである。

 「汚れるけえ、集会のときしか着ない」とメンバーの一人(17)。「先輩」から代々譲り受け、自分なりの刺しゅうを加えている。新調すれば無地の上下で約二万円。派手な刺しゅうを入れ、二十万円近くをつぎ込むメンバーもいるという。

 ある業者によると、最近は直接の刺しゅうの注文は激減。雑誌の広告を見てサイズから刺しゅうのデザインまでを決める通信販売が主流という。

 製造を請け負う業者には、学校指定の制服を扱う県外のメーカーも。市域を超えた条例のアピールが求められそうだ。

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