中国新聞
2002/04/23
特攻服を着ない日 (2)
仲間が捕まるの、慣れるよね

  愛 車

 コウジ(17)が逮捕されて三日目、同じ暴走族のタカシ(17)と携帯電話がつながった。夜、ファミリーレストランで、同い年のヒロシも交じえて会った。

 「走っとったんよ」。まる二日、連絡が取れなかった理由をヒロシが明かした。コウジが捕まってふた晩、警察署の周囲を二輪車で走り、エンジン音を響かせたという。留置されているコウジを「励ますため」だ。

 タカシは元気が無かった。「コウジがおらんく(いなく)なって寂しい」。コウジが出頭する前の夜「泣きそうになった」と言う。

 対照的にヒロシは平然とたばこを吹かす。「仲間が捕まるの、何回も見とるじゃん。慣れるよね」。コウジの後を継いで「アタマ」を代行するという。「出頭した方がええ、とコウジには言ったよ。それだけのことしたんじゃもん。逃げた分だけ印象悪うなるし、損じゃん」

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 コウジとタカシ、ヒロシの三人は同級生。中学時代は同じ部活動に所属する一方、一緒にコンビニエンスストアの前にたむろし、バイクの無免許運転、万引もした。

 三年の時、コウジとヒロシは同時に暴走族へ入った。ヒロシは言う。「ひと通りのことやって次は何やるか言うたら『ボウソウ』じゃった。もっと上のステージいうんかね」。

 「金とかかかりそうで」と誘いを断ったタカシは、別の「チーマー」グループに入った。しかし昨年、コウジたちのグループに「移籍」した。脱会時、チーマーのリーダーには殴られ、顔の骨がへこんだ。それでも、気心の知れたコウジたちのグループに居場所を求めた。

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 タカシとヒロシはよくコウジの家に集まった。タカシは「コウジの部屋は大きくて、テレビもあって落ち着けた」と言う。ヒロシは「おばちゃん(コウジの母)もやさしいしね」と言葉を継いだ。

 三人は、高校を数カ月でやめた点も共通している。「『高校デビュー』するやつ、ハガイイ(腹が立つ)よね」。タカシもヒロシも、中学時代から「ワル」であったことが誇らしげだ。幼なじみ少年たちは、ワルのくびきで関係を固め合っているように思えた。

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 取材の帰り、ヒロシとタカシを車で送った。二人とも、乗る時は「お願いします」、降りる時は「ありがとうございました」と言った。レストランで途切れなく吸っていたたばこも、車内では控えていた。

 「一人ひとりは、本当はええ子」。警察官、ボランティアなど彼らに関わった多くの人が口にする。コウジたち三人も同じだった。

 でも、暴走族としての彼らは、一人だけ「いい子」になることを許さない。「ボウソウに入ったおれたち、マヒッとる(まひしている)んかな」。逮捕される前、コウジが笑みを浮かべ、首をかしげていた姿を思い出す。

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