中国新聞
2005/11/09
万引減 防止へ取り組み継続を
  広島県などのプロジェクト終了から半年

犯罪の低年齢化 悪質な手口目立つ

断面

 広島県と県警、県教委が昨年度、万引防止に取り組んだ「少年犯罪防止緊急対策プロジェクト」が終わって半年余り。四月から九月末にかけて万引した少年は昨年同期比で大幅に減った。しかし、小学生らによる悪質な手口が目立ち、犯罪の低年齢化に歯止めがかかったとは言い難い。成果を一過性のものにとどめないためには行政と事業者、住民が継続的に取り組める仕組みづくりを考える必要がある。

松本恭治

  自前のポスターを張り、万引防止を呼び掛けるフタバ図書の店内(広島市西区)  

 「STOP! ザ・万引」―。フタバ図書(広島市西区)は昨年四月以降、全店内で死角になる場所を中心に自前のポスターを張った。今年三月からは、大型店を対象に休憩や帰宅前の従業員に店内パトロールをするよう徹底。同社総合管理本部の風間武夫部長は「店員に防犯への意識が浸透した。万引は減っている」と手応えを感じている。

 県警などは昨年度、プロジェクトの活動として県内の全小学校で防犯教室を開き、事業者には万引防止マニュアルも配った。本年度も引き続き防犯教室の開催を各学校に呼び掛けるなど、フォローに努めている。

 県警少年対策課によると、今年四〜九月、県内で逮捕、補導された刑法犯少年は千五百六十五人と昨年同期比で11・6%減少。うち、万引は五百三十七人で17・0%下回った。高校生百五十四人(37・7%減)、小学生五十九人(16・9%減)といずれも大幅に減り、中学生だけが二百三十四人で6・4%増えた。

 同課の前田英雄次席は「ここに来て、プロジェクトの成果が出始めた」と評価する。

 ただ、楽観視できない現状もある。フタバ図書では、小学生グループの一人が店員に声を掛けて注意をそらし、別の仲間がすきを見て商品を盗むなど悪質なケースも。最近は特に小学生の万引が目立つという。

 全国では六月、「万引犯罪防止機構」が設立された。各都道府県や業界団体ごとに実施している活動を取りまとめ、効率的な対策や情報の共有を目指す。同機構によると、都道府県レベルの窓口となる組織は、東京都をはじめ十カ所にあるが、広島では今のところ設立の動きはない。

 「子どもたちを守る意味でも、行政や住民、事業者がそれぞれの役割を果たしながら連携を図るシステムが引き続き必要だ」と風間さん。芽生えた機運を無駄にせず、少年を「犯罪の入り口」から遠ざけるためにも、プロジェクトの次を担うシステムが必要だ。


Menu Back