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春日座(岡山県作東町) |
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盛んな地歌舞伎が建てた「春日座」。そろい踏みした子ども役者に拍手が |
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兵庫県境に近い岡山県の勝英地方には、地下(じげ)芝居と呼ばれる歌舞伎が盛んに伝承され、農村舞台も残っている。中国地方では数少ない地歌舞伎ゾーンだ。
中国道を挟んで位置する作東町の北部に、粟井春日歌舞伎保存会の芝居小屋「春日座」が立つ。「春日神社の境内にあった農村舞台がもと。客席を付けて、小屋へと移転改築したんですわい」。保存会の安東正会長(82)が説明した。役者の一人でもある。
焦げ茶色に塗られた一部二階の木造の建物は、町家風の落ち着いた風格を漂わせる。「建物先行の小屋が多い中で、うちはソフトが箱モノを生んだ例です。モデルがないため、香川の金丸座さんを参考にしました」。事務局長の有友一正さん(42)が、言葉を継いだ。
改築では舞台を一回り大きくするなど、手を加えた。「すべて満足とはいきませんが。現代の小屋として、皆で大事に使っていこうと思って」
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花代御礼を書いたのし紙が花道まであふれ、にぎやかさを増す |
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<メモ>春日座は間口約12メートル、奥行き約35メートル。定員は300人。歌舞伎は町重要無形文化財。毎年10月9、10日の秋祭りに奉納公演を開く。作東町、電話0868(75)1111 |
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先代の舞台は、明治初期に村人が建築した。「おやじの代は盛んでね。春秋の祭りだけでなく、よそに招かれて行き家人を心配させました」と安東さん。名優とたたえられた父の後を継ぎ、廃絶の危機を乗り切ろうと一九七七年、仲間と保存会を設立した。
地道な努力で再び人気が高まり、近隣の歌舞伎大寄せ公演に出場するまでになった。老朽化が進んだ九二(平成四)年、使い慣れた舞台に思いを残しながらも、保存会は町の助成を受けて移転改築の道を選んだ。
総工費約四千七百万円。「拠点ができた結果、地元だけでなく、多くの方々が見に来てくれるようになって」。公演は無料で、当日寄せられる花代に頼っている。ファンの増加は小屋の維持管理や会員のやる気につながった。
この十月。会員二十人に地元の小学生が加わり、二日間の公演が開かれた。「源平咲分(さきわけ)牡丹(ぼたん)」のような地方独特の演目を、大きな演技で見せる。立ち見も含め、毛布持参の親子連れ約五百人が訪れた。
「かっちけねー(かたじけない)」。三、四歳の子どもたちが、セリフをまねして遊ぶ。親子共演も増えて来た。
兄と舞台に立った建築業の名部光弘さん(25)は「小さいころから父を見てきて、一度はやってみたかった。もう病みつきです」。兄と一緒に車に乗ると、セリフのやりとりを始めてしまうそうだ。
今年は、横仙歌舞伎で有名な近くの奈義町から若い三味線、太夫が助っ人として参加した。「若い会員が増えるばかりか、奈義からも助けてもろうて。懸案だった太夫も当分安心できそうですな」。安東さんは目を細めた。
公演後、幕の前に座った安東さん。「平成の小屋が今後も発展しますよう、皆さまのご協力を、おん願い奉りまするー」。父親譲りの見事な切り口上が、夜もふけた桟敷に響き渡った。
◇ ◇ ◇
現代の芝居小屋といえる建物が近年、中国地方に生まれ、育っている。それぞれに強烈な個性を持ち、時代の空気を吸って羽ばたき始めた。
各地の様子を紹介し、芝居小屋の現在、そして未来形を考えてみたい。 (文・片山明子 写真・荒木肇)
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