広島合同庁舎近くにあり、コロナ禍で利用を停止している広島市の喫煙ブース。市は張り紙(手前)で、10月以降はブース外での喫煙に過料を取ると通知している
復活する喫煙所が設けられる広島合同庁舎の駐輪場

 受動喫煙対策を強化する改正健康増進法の一部施行で喫煙所を2019年6月末に全廃した広島合同庁舎(広島市中区)が、今年9月にも喫煙所を「復活」させることが12日、分かった。職員による路上などでの喫煙で苦情が届き、「マナー違反が改善できそうにない」(中国四国管区行政評価局)として、関係機関の合意で方針転換した。広島県医師会は「時代に逆行している」と批判している。

 評価局や中国財務局によると、復活させる喫煙所は、国の出先など23機関が集まっている広島合同庁舎の敷地北端に設ける。市道に面した屋外駐輪場(920平方メートル)の一部を、高さ約2メートルの仕切りで囲む。今月中に設計し、9月の完成を目指す。整備費は未定で、23機関で分担する。

 行政機関は19年7月1日の改正健康増進法の一部施行で、敷地内が原則禁煙となった。合同庁舎には19年6月末時点で、1~4号館のそれぞれの1階に屋内喫煙ゾーンがあったが、施行に合わせて全面撤去した。改正法は受動喫煙を防ぐ措置を取れば屋外喫煙所を設置できるとしているが、当時は原則通り対応した。

 その後、庁舎周辺の住民たちから「職員らしい人が庁舎外の民有地で喫煙している」などの苦情が5件、寄せられた。23機関の連絡会議で今年6月下旬に対応を協議し、「不適切な喫煙を防げない」として喫煙所の復活を決めたという。

 合同庁舎の最寄りの公園や路上には、喫煙ブースなど市が設置した喫煙場所が3カ所ある。苦情の中には「ブース外で吸っている人がいる」との声もあった。一帯は市ぽい捨て防止条例に基づく喫煙制限区域で、喫煙所以外の公共の場で吸うと千円の過料が科される。このため市は今月、ブースに張り紙を出し、10月以降は厳密に過料を徴収すると通知した。

 ブースは現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図る県独自の集中対策に伴って、利用できなくなっている。

 評価局は今年2月、23機関に喫煙マナーの改善や禁煙指導を指示していた。高橋慎治首席行政相談官は「指導には強制力がなく、マナーを徹底させるのは難しい。周辺への迷惑を防ぐため、喫煙所の復活はやむを得ない」と理解を求める。

 これに対し、県医師会は「喫煙所は受動喫煙を助長し、新型コロナなど感染症対策でもリスクがある。民間への模範となるべき公的機関なのに、時代錯誤だ」と反論している。(城戸良彰)

 <クリック>改正健康増進法 受動喫煙を防ぐため、多くの人が集まる施設内を原則禁煙にするのを柱とする。制度を推進する立場にある行政機関の庁舎をはじめ、受動喫煙の影響が大きい子どもや患者が利用する学校や病院などは2019年7月1日から、屋内が禁煙となった。屋外も原則禁煙だが、喫煙できる場所を区切り、標識を掲示するなどの要件を満たせば、喫煙所を設置できるとする。オフィスや店舗などは20年4月1日から、屋内の原則禁煙が義務付けられた。