スーツの内ポケットは何かと便利だ。財布、手帳、名刺入れに携帯電話と、仕事で使う小道具がしっかり入る。重くなって肩が凝りやすくなるものの、手ぶらの爽快さは何物にも代え難い▲河井克行元法相が現金入り封筒をポケットにねじ込んできた―。広島の首長や地方議員が相次ぎ証言した。そして買収した元法相は実刑判決を受けて確定したのだが、懐を膨らませた側は誰も、被買収の罪で裁かれていない。不起訴とされたためだ▲東京第6検察審査会が異を唱えたのも当然と言えるだろう。県議ら35人を「起訴相当」と判断した。これで仮に東京地検が再び不起訴にしたとしても、強制起訴される可能性が強まった▲この事件では現金の受け取りを認めて辞職した首長がいる一方、県議会は関係議員への「文書警告」というイエローカードだけ。広島市議会に至っては、公開の場ではあるものの事情を聴いたにとどまる。そんな「けじめ」のあいまいさも検審の判断に影響したのではなかろうか▲その内ポケットに再捜査という重い宿題を抱えることになったのが東京地検である。時効も迫っていると聞く。果たして、どんな「けじめ」を見せてくれるだろうか。