5歳から11歳までの子どもに対する新型コロナウイルスワクチンの接種が3月にも始まる。厚生労働省が米ファイザー製を特例承認した。

 子どもは新型コロナに感染しても軽症や無症状で済むことが多いが、重症化する可能性も否定できない。基礎疾患があり、高いリスクを抱える子どもや家族にとって朗報となろう。

 ワクチン接種の必要性を巡っては、専門家の間でも意見が分かれている。副反応や長期的な影響が出ないか、不安を感じている保護者も多い。接種するかどうかはメリットとリスクを踏まえ、子どもを交えて家族で話し合って選択することになる。

 政府は各家庭で納得して判断できるよう、有効性や安全性、副反応などについて十分な情報を提供しなければならない。

 新変異株、オミクロン株の流行で子どもの感染・発症が急増している。集団感染も広がり、小学校の休校や学級閉鎖、保育園の休園も相次いでいる。

 持病のある子どもは感染時の危険性が増すとして、日本小児科学会は接種を強く推奨している。その上で、健康な子どもについても「12歳以上と同様に意義がある」との見解を示す。

 ただ接種開始は早くても3月と、まだ先だ。子どもたちに急速に感染が広がる現状には対応できないだろう。基礎疾患がある子どもや、きょうだいたちに対し、接種を早めるなど配慮する必要があるのではないか。

 5~11歳への接種は、ワクチンの投与成分量を12歳以上用の3分の1にしてある。3週間の間隔を空けて2回打つ。

 海外の臨床試験では、デルタ株など従来株に対し、9割を超える発症予防効果が確認されている。オミクロン株に対しても重症化予防効果が期待される。

 2月に輸入が始まる予定だ。全員に打つ場合、対象者は700万~800万人に上る。政府は速やかに供給計画を自治体に示す必要がある。

 米国やカナダ、イスラエルでも承認されており、海外での臨床試験や先行例からは、深刻な副作用は今のところ報告されていない。ただ発熱や注射部位の痛み、倦怠(けんたい)感などが想定され、接種後まれに起きる可能性のある心筋炎などにも注意が必要という。高熱を出すと、子ども特有のけいれんを引き起こす懸念もある。

 接種後の体調管理が大切となる。かかりつけ医や小児科の医師らと意思疎通しやすい個別接種で対応するのが望ましい。集団接種を実施する自治体もあるだろうが、その場合も医師会などと連携し、希望する子どもが安全に接種を受けられるよう、現場の体制を整えるべきだ。

 政府のワクチン分科会では今後、接種の推奨の在り方が議論される。子どもの保護者に予防接種法上の「努力義務」規定を適用するかどうかが焦点だ。

 オミクロン株への効果もまだはっきりしていない。低リスクの子どもに努力義務を課してまでワクチン接種を促す必要性は低いとする専門家もいる。

 大人と同様に努力義務と位置づけられると、同調圧力がかかる心配もある。接種したかどうかで新たな差別やいじめが起きることがあってはならない。政府や自治体は、選択の自由を尊重しつつ、啓発に力を入れる必要がある。