「女性活躍」が打ち出されてきた陰で、地方の女性議員に対する不当な扱いの一端が明らかになった。議会内外でのハラスメント(嫌がらせ)について、中国5県の地方議会で活動する女性議員に尋ねた本紙アンケートで、回答者の4割強が「被害経験あり」とした。

 「女のくせに生意気」「議員より愛人になったら」といった暴言でおとしめられたり、体を触られたり、下着を送り付けられたケースまであるという。

 立場をかさに着たパワハラにしろ、セクハラにしろ、許されぬ人権侵害である。地方自治の意思決定に関わる現場での由々しき事態だけに、地域挙げて解決を急がねばならない。

 見逃せないのは、ハラスメントに及んだ相手、つまり加害者として、同僚の議員に次いで、支援者や住民が目立つ点である。投票を見返りに有権者が身勝手な要求を迫る「票ハラスメント」かもしれない。

 上智大法学部の三浦まり教授は、自身も加わった女性地方議員に対する別の調査でも結果は似た傾向だとし、「有権者からの方が性的形態を取りやすい」と警鐘を鳴らしている。公職にある女性議員が「泣き寝入り」を余儀なくされてきた、立場の難しさがうかがえる。

 ほぼ野放し状態で対処の難しい、インターネット上の嫌がらせ対策も欠かせない。被害を受けた議員が、弁護士や警察に相談する際の証拠となるような情報通信技術も待たれる。

 被害に遭った議員をケアする態勢づくりに加え、加害者と、その予備軍に対する視点も忘れてはなるまい。

 「女の居場所は家庭で、議場じゃない」式の偏見に基づく無意識の発言や行動にどう気付かせ、自戒を求めていくか。鍵は意識改革だろう。

 その点、内閣府は政治分野におけるハラスメント防止の研修教材作りに向け、有識者検討会を先週スタートさせている。いずれ地方議会に教材として示されるらしいが、それを待っていては遅すぎよう。それぞれの議会が自ら動きだす必要がある。

 光、浜田両市議会などが政治倫理条例にハラスメント禁止を盛り込んだのもその一つだろう。条例化の効果チェックも重要となる。評価と監視を通じ、有権者の「目」を育みたい。

 ただ、中国地方の県・市町村議会では女性議員の比率が約12%と低い。女性ゼロの議会などでは、改革の出足が鈍ることも予想される。近隣の議会から合同の勉強会を呼び掛けるなどの工夫が望まれよう。

 何より意識改革には、過去の具体例に学び、課題や予防策をくみ取るケーススタディーが有効だろう。セクハラなど表面化しにくいケースも拾い上げる、より丁寧な実態調査を全国規模で行うべきである。昨年6月改正の「政治分野における男女共同参画推進法」の効果検証にも役立つデータではないか。

 なり手不足という宿題に悩まされてきた地方議会にとって、女性は、若者と並ぶ有力な人材である。新型コロナウイルスの感染拡大に振り回され、政治に対する住民の関心は高まっているとも聞く。今こそ、議会の環境を整え、女性も若者も参画しやすくする好機といえる。その責任は、議会人は言うに及ばず、私たち有権者にもある。