南太平洋・トンガ沖で15日に発生した海底火山の噴火。日本をはじめ太平洋沿岸諸国に津波を及ぼし、衝撃波が欧州にまで到達するほど巨大な規模だった。にもかかわらず、被災した現地の状況が、いまだよく分かっていない。

 津波で死傷者が出たとか、火山灰で覆われ「月面のようだ」といった断片的情報が伝わる。電話・インターネットが遮断されたためで、ニュージーランドなど近隣国が軍用機などを飛ばし、情報収集を進めている。

 被災した住民は少なくないはずだ。一刻も早い救助や治療、支援に、国際社会が結束して当たるときだ。

 だが火山活動は今後も続き、噴火する可能性がある。火山の状況や今回の津波発生メカニズムなどを分析、警戒しながら、支援物資の供給などを進めねばならない。

 日本は同じ太平洋の島国であり、火山が多いのも共通する。津波被災の経験もあり積極支援したい。一方で到達した津波については情報把握や警報発令に問題を残した。検証すべきだ。

 噴火した火山はトンガの首都ヌクアロファの北65キロ、「環太平洋火山帯」の西南端付近にある。ほぼ千年置きに巨大噴火を起こしており今回は噴煙が高さ20キロ、直径500キロに及んだ。1991年に発生した、20世紀最大の噴火とされるフィリピンのピナトゥボ山に次ぐ規模と専門家はみる。火山灰が太陽光を遮ることによる異常気象も引き起こしかねない。

 人工衛星などの映像は噴火の規模を伝え、被災地が広域で深刻であることをうかがわせる。

 トンガの本島であるトンガタプ島の西岸や離島が深刻な津波被害を受けたとみられる。人口約10万人のうち8万人が被災したようだ。

 本島の停電は復旧したというが、水が火山灰で汚染されたため飲み水の確保が急がれる。また離島の多くは通信が途絶え、被害状況が分からない。

 医療品や食糧など支援物資を近隣国が供給しようとしているが、島の空港は大量の火山灰が積もって使えない状態だ。ニュージーランドなどが支援物資の投下を試みている。

 被害の全体像を知るには通信インフラの復旧が欠かせない。海底ケーブルの一部が噴火の影響で切断されており、修復には2週間近くかかるともいう。

 医療体制や衛生環境の悪化から生命の危機にさらされている人も多いのではないか。救援活動に総力を挙げたい。

 一方、日本に到達した津波は噴火で発生した「空振」と呼ばれる衝撃波が、海面を押さえ込んで潮位を引き上げたようだ。

 15日午後1時ごろに火山が噴火。午後7時、気象庁は「被害の心配はない」と発表したが、5時間後には津波警報・注意報を出した。潮位変化で漁船30隻が転覆、沈没したほか、定置網や養殖施設が損傷している。

 気象庁は、前例がない特異現象とするが、メカニズムの詳細な分析、情報提供の在り方の再検討が求められる。

 火山列島日本では8年前に御嶽山(おんたけさん)が噴火して大勢が亡くなったほか、昨年は海底火山「福徳岡ノ場」噴火で広く軽石被害が出た。そこへ南太平洋の活発な火山活動による被害も出た。観測態勢を立て直す必要がある。