日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が、テレビ会議方式で開かれた。

 覇権主義的な動きを強める中国を強くけん制し、「日米同盟」の抑止力強化を確認。中国やロシア、北朝鮮が開発中で迎撃が難しいとされる「極超音速」ミサイルなど、新たな防衛装備品の共同研究にも合意した。

 日本は「国家の防衛に必要ならあらゆる選択肢を検討する決意」を強調し、敵基地攻撃能力保有の検討も念頭に防衛力を抜本的に強化する意向を示した。自衛隊と米軍の装備強化と共同行動を進めるもので、日米の一体化がより鮮明になった。

 中国や北朝鮮の動きをにらんだ備えは必要だが、軍事力の強化に傾注するだけでは、逆に不測の事態が起きる「安全保障のジレンマ」に陥りかねない。地域の緊張緩和に向けて、粘り強く対話の努力を尽くすべきだ。

 2プラス2の開催は昨年3月以来で、岸田文雄政権にとっては初めてとなる。日本からは林芳正外相と岸信夫防衛相、米側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官が参加した。

 政府は今年中に、外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」や「防衛計画の大綱」などを改定する。今回の協議を踏まえ、改定に向けた議論を本格化する方針だ。

 共同文書では、「台湾海峡の平和と安定の重要性」をあらためて強調。地域の安定を損なう中国の行動に対し、必要なら共同で対処する決意を表明した。さらに「緊急事態に関する共同計画作業」を進めることにも言及した。計画の具体的な内容は明らかになっていないが、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」が念頭にあるとみられる。

 自衛隊と米軍が台湾有事を想定して、鹿児島県から沖縄県に至る南西諸島に米軍の軍事拠点を置く共同作戦計画の原案を策定していたことが昨年末に明らかになった。

 南西諸島の住民を戦闘に巻き込む恐れが強い。国民の生命を危険にさらすような作戦計画は断じて認められない。

 2プラス2の前日には、岸田首相がオーストラリアのモリソン首相とのテレビ会談で自衛隊と豪軍が共同訓練を円滑に行うための協定に署名した。

 こちらも中国の行動抑止を念頭に防衛協力の可能性を広げる試みと言える。だが、軍事的な包囲網の強化ばかりでいいのか、不安が尽きない。

 今回の協議は、在日米軍由来とみられる新型コロナウイルスの感染が基地のある沖縄、山口両県などで急拡大する中で開かれた。日本側が米兵の外出制限を含めた感染対策を一段と厳格にするよう求めたのは当然だ。

 米側は「懸念を払拭(ふっしょく)するよう努力したい」とするが、実効性が担保されなければ、自治体や住民の不信感は拭えまい。

 背景には、検疫を含めた国内法が在日米軍には適用されないという日米地位協定の壁があるのは明白だ。しかし協定の改定については議論されなかった。

 共同文書には、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設計画についても「唯一の解決策」と明記された。明らかに沖縄の民意に反する。日米両政府は地域住民の理解がなければ、安全保障政策は成り立たないと肝に銘じるべきだ。