広島県内で2021年に確認された特殊詐欺の被害額は4億7276万円(暫定値)で、前年(2億4105万円)からほぼ倍増したことが県警のまとめで分かった。被害額が前年を上回るのは過去最悪だった14年以来、7年ぶり。息子や孫になりすます「おれおれ詐欺」や保険料の返還を装う「還付金詐欺」などの手口が増加し、被害者の8割はお年寄りだった。

 県警によると、21年の被害件数は202件で、前年(136件)から48・5%増えた。手口別では、有料サイトの利用料金などをかたる「架空料金請求」が2億5201万円(61件)で被害額、件数とも最多。おれおれ詐欺は1億1685万円(42件)に上り、被害額は前年の約5倍に急増した。前年に被害が確認されていなかった還付金詐欺は4582万円(52件)だった。

 被害者のうち65歳以上は79・7%で、前年(63・2%)を上回った。犯人が現金をだまし取った方法は、現金自動預払機(ATM)を使う「振り込み型」が86件と全体の4割超を占め、前年の3倍近くになった。ATMへ誘導する還付金詐欺の増加が要因という。

 県内の特殊詐欺被害額は14年(16億3437万円)をピークに減少が続き、20年まで3年続けて過去最少を記録した。県警は、21~25年に被害額を2億円以下とする新たな目標を定めたが、1年目は厳しい結果となった。

 一方、21年に金融機関の窓口やコンビニでの声掛けなどで被害を食い止めた「水際阻止」のケースは506件で、前年の2・4倍に上った。被害件数と水際阻止件数の合計に占める阻止件数の割合「水際阻止率」は71・5%で、阻止額は少なくとも1億7200万円に上るという。

 県警は、非通知電話を取らないことやATMの利用限度額引き下げといった対策のPRを強めるとともに、水際阻止の強化へ向け、関係機関との連携をさらに深めたい考えだ。生活安全総務課は「社会全体で被害を防ぐ仕組みづくりに努める」としている。(根石大輔)