衆院本会議で就任後初めての施政方針演説をする岸田首相(撮影・浜岡学)

 第208通常国会が17日召集され、岸田文雄首相(広島1区)は就任後初めての施政方針演説を衆参両院の本会議で行った。「核兵器のない世界に向けた国際賢人会議」を各国の為政者らの関与を得ながら創設し、今年中に広島で初会合を開くと表明した。新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受け、早期克服に「全身全霊で取り組む」と強調。脱炭素社会の実現に向けた大改革も呼び掛けた。夏に参院選を控えた与野党の論戦は19日の衆院代表質問でスタートする。

 国際賢人会議のベースは首相が外相時代に設立を主導した「賢人会議」。核軍縮を巡る核兵器保有国と非保有国の有識者による議論の場を発展させ、現職、元職を含めた各国政治リーダーに参画を呼び掛ける。現職米大統領で初めて広島を訪れたオバマ氏が原爆資料館(広島市中区)で記帳した言葉を紹介し、「この思いを引き継ぎ、勇気を持って核兵器のない世界を追求する」と訴えた。

 ▽コロナ対策「全身全霊」

 コロナ対応を政権の最優先課題とし、6月をめどに感染症法の在り方を含む中長期的な対応を取りまとめる方針を示した。今後は国内対策に重点を置き、重症者を中心とした医療提供体制の強化や3月以降のワクチン3回目接種前倒しを加速させる。高齢者の接種間隔は6カ月とし、64歳以下も余力のある自治体で同様の接種を目指す。

 感染拡大は米軍岩国基地(岩国市)など在日米軍基地が「震源地」となった可能性が高い。基地関係者の入国時の検疫を米軍任せにしている日米地位協定に関し、「保健・衛生上の課題を地位協定に基づく日米合同委員会でしっかり議論する」と述べるにとどめた。

 気候変動問題は「資本主義の負の側面が凝縮している」と指摘し、自ら掲げる「新しい資本主義」の実現で克服するべき最大の課題と位置付けた。2050年に国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする政府目標の実現に向け、「経済社会全体の大変革に取り組む」と訴えた。

 日本の技術を生かしたアジアの脱炭素化への取り組み「アジア・ゼロエミッション共同体」の実現も掲げた。新資本主義の実行計画を今春に取りまとめ、先進7カ国(G7)首脳会議などを通じ、資本主義の変革に向けた世界の議論を先導するとした。

 気候変動に加え、デジタル、経済安全保障といった社会課題の解決を図ると強調。官民による人への投資や最低賃金の見直し、子どもに関連した施策の司令塔「こども家庭庁」の設置に取り組むと主張した。

 敵基地攻撃能力を含めた現実的な防衛力強化を検討すると述べ、憲法改正について国会での積極的な議論に期待を寄せた。国土交通省の建設受注統計書き換え問題を陳謝した。(下久保聖司)