「オミクロン株は想定を上回る感染力がある」と話す田中教授

▽ピークは先 対策徹底を

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する広島県などへの「まん延防止等重点措置」の適用が7日決まり、感染力の強いオミクロン株への対策が特に求められる。オミクロン株について、感染力がインフルエンザ並みとみる広島大大学院の田中純子教授(疫学・疾病制御学)に、特徴や感染拡大を防ぐ方法を聞いた。(衣川圭)

 オミクロン株は、国内で例年約1千万人がかかるインフルエンザと同じように鼻や喉での増殖が中心。うつしやすさはデルタ株の2・8~4・2倍との試算がある。潜伏期間も3日ほどと短く、かかって1、2日後には感染力を持つため、急拡大の要因になっている。従来とは全く違うウイルスとみた方がいい。

 広島県の新規感染者数は7日、過去最多となり、県が「第6波」のピークと想定していた358人も上回った。年始の人の流れの影響はこれから表れ、1日千人を超す日も近い。ワクチンを2回接種後に感染する人も出ている。ピークはまだ先で、中国地方の他県でも感染拡大は続くだろう。

 重症度は高くないという見方がある。南アフリカの報告では、入院リスクはデルタ株の5分の1という。現在は肺炎などで重症化する人は少ないが、「風邪と同様」とはまだ言えない。

 12月以降の広島県の感染者の過半数は20代以下で、会食を発端とするものが目立つ。オミクロン株の重症度が本当に低いのか、今の感染が若者中心だから重症化していないのか、ワクチンの効果か―など、もう少し見極める必要がある。

 たとえ重症度が5分の1でも感染者数が5倍になれば、医療逼迫(ひっぱく)の危機はまた訪れる。沖縄県では感染して欠勤する医療従事者が増えている。病床はあっても、スタッフ不足で入院を受け入れられなかったり、自宅療養をフォローできなかったりする新たなリスクと言える。

 必要なのは高齢者や持病のある人を守る視点だ。ワクチンの追加接種を急ぐべきだ。入院とホテル療養を中心とした態勢ではもう間に合わない。療養場所の選別や自宅療養者のフォローをどうするかなど、早急な見直しが必要だ。

 ピークをいかに低くできるかは今後の対応にかかっている。県が要請する、外出半減や酒の提供自粛も必要だ。企業などもテレワークを推進し、従業員が感染した場合の業務継続も考えておく必要があるだろう。

 一人一人がこれまでの対策の基本をいま一度徹底してほしい。流行地域でも、不織布のマスクをして、手指消毒をしていれば感染は広がらなかった事例がある。また、少しでも体調が悪い場合は外出せず、医療機関を受診することが大切だ。ワクチンを接種していても、移動やイベント参加などの際は、検査をできるだけ受けてほしい。 

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