温泉を温めるボイラーに薪をくべる半田さん(撮影・井上貴博)

 温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に向け、中国地方でも取り組みが本格化している。実現にはエネルギーや製造、流通など幅広い企業に加え、自治体や個人の参加が不可欠だ。村ぐるみの再生可能エネルギー導入や燃料の多様化など、地域をリードする現場を訪ねた。

 ▽山の資源活用 薪で熱供給

 鳥取、兵庫の県境と接する岡山県西粟倉村は、再生可能エネルギーの利用で国内の先頭を走る。村で使う電気の半分を再エネで生み、薪は灯油に代わる熱源となる。脱炭素を見据えた取り組みが起業や移住を促し、人口1400人の村に活気をもたらしている。

 「今まで無価値だったものが役立つ。仕組みづくりが面白い」。村内の温浴施設でボイラー内の薪を確認しながら、半田守さん(31)が新しい1本をくべた。間伐材などのバイオマス燃料を温泉の加温に使っている。

 バイオマス事業を手掛ける会社motoyu(モトユ)を2020年秋に設立。村内3カ所のボイラーに薪を供給している。京都府出身。地域おこし協力隊員として移住して18年から村の企業で働き、事業を引き継いだ。並行して運営する宿泊施設はジビエ料理などが好調で、「宿は十分勝負できる」。薪の燃焼の効率を上げ、バイオマス事業の収益アップを目指す。