空のつきあたり 雲の形から見つけよう
<2021年8月ちゅーピー子ども新聞掲載記事より>

暑い8月、冷たい氷を使って実験をしてみませんか?
ガラスコップの中に、氷を入れて置いておきましょう。時間がたつと、まるでコップが汗をかいたように、外側に水滴がたくさんついているはずです。この水滴はどこからきたのでしょうか。
私たちを取り囲む空気の中には、見えないけれどたくさんの水が隠れています。姿を隠している間は「水蒸気」と呼ばれます。空気が冷えると姿を現して、目に見える水滴になります。
先ほどの実験では、冷たいコップに触れた空気が冷えて、コップの外にたくさんの水滴がつきました。
これは雲ができる仕組みと同じです。水蒸気をたくさん含んだ空気が空高く昇っていくと、空気が冷やされて水蒸気が姿を現し、目に見える水の粒になります。この水の粒の集まりが雲です。
空の上に向かって吹く風の勢いが強いほど、もくもくと背の高い雲ができます。中でも特大で迫力があるのが入道雲。正式な名前を「積乱雲」といいます。夏休みのころは日差しが強く、積乱雲ができやすい季節です。蒸し暑い日のお昼すぎから夕方にかけて、観察してみましょう。
でも、背の高い積乱雲も、どこまでも成長できるわけではありません。よく観察していると、普段は目に見えない「空のつきあたり」を発見することができます。

空はどこまでも高く広がっているように見えますが、雲ができる範囲は決まっています。私たちのいる地上から、高さ15キロくらいのところまで。飛行機が飛ぶ高さが10キロ前後です。夏にできる積乱雲は高さ10キロ以上まで成長します。とても日差しが強く蒸し暑い日だと、成長は止まらず…。それ以上伸びることができないところまでくると、写真のようにてっぺんが横に広がっていくのです。私はこれを「空のつきあたり」と呼んでいます。
数年前、つきあたりまで成長した雲を飛行機の中から見ることができました。今は飛行機に乗る機会も少ないですが、下から眺めるチャンスはいつでもあります。遠くに積乱雲を見つけたら、空のつきあたりが見えないかなとワクワクします。
(気象予報士・勝丸恭子)