朝が寒いといいことが!? 昼間 太陽の光 たっぷり
<2021年11月ちゅーピー子ども新聞掲載記事より>
早起きは得意ですか? 私は子どものころ、目覚まし時計が鳴っても、ちっとも起きられませんでした。今は朝早く仕事に行かなくてはいけないので毎朝4時に起きていますが、お布団の中が大好きです。
朝が冷え込んで、お布団から出るのがつらくなる季節です。でも、よく晴れて空気がキーンと冷たくなる日ほど、昼間がポカポカで過ごしやすくなりますよ。
地球は昼間、太陽から熱をもらって暖かくなります。太陽が沈んで夜になると、昼間にもらった熱は空に向けて逃げていきます。熱が逃げて冷えることを、難しい言葉ですが「放射冷却」といいます。

太陽が沈んでから次の日に朝日が昇るまで、どんどん熱が逃げて気温が下がります。朝日が昇ってくると、また太陽の熱を受けて気温が上がり始めるのです。ですから、たいていは朝日が昇る直前が一日の中で一番寒くなります。

ところが夜の間に空が曇っていると、朝、あまり冷え込みません。雲がまるで掛け布団のような役割をして、熱が逃げにくくなるのです。逆に雲のないよく晴れた夜は、掛け布団なしで寝ているようなもの。どんどん冷え切って、とても寒い朝になります。寒い朝は雲のない朝。ということは、昼間は太陽の光がたっぷり降り注いで暖かくなる―、というわけです。
秋の終わりから冬の初めにかけて、晴れてポカポカする日を「小春日和」と呼びます。昔の人が、「まるで春のようだ」といって名付けました。特別寒くてお布団から出るのがつらい朝は、「小春日和になるぞ」と思い出してがんばってみてください。
寒い朝にしか見られないすてきな景色もあります。「雲海」です。晴れて冷え込んだ朝、特に山あいの地域で濃い霧が出ることがあります。この霧を山の上から眺めると、まるで雲の海が広がっているように見えるのです。

私は、三次市で雲海を見たことがあります。夜明け前、真っ白に広がる雲を見下ろしていると、やがて朝日が昇って、あたりが赤く染まりました。早起きのつらさも、寒さも忘れてしまうような光景でした。
(気象予報士・勝丸恭子)