動きだす季節 桜の開花を観察しよう
<2022年3月ちゅーピー子ども新聞掲載記事より>
3月になりました。足元にタンポポの花が咲いたり、耳をすませば「ホーホケキョ」というウグイスの声が聞こえ始めたりする季節です。生き物たちが動きだしました。私たちも、春を探しに外へでかけてみませんか?
今月の終わりごろには桜の花の季節がやってきます。ピンクの花が咲くと、一気に町が明るくなるようで、私は毎年わくわくします。
桜の開花は、年によって早かったり遅かったりしますね。実は、暖かければ暖かいほど早く咲くというわけではありません。その証拠に、暖かいはずの鹿児島や高知よりも、東京の方が早く咲く年があります。一体何が、桜の開花に影響しているのでしょうか。
桜の花の芽は夏にできて、眠りについています。そして冬の間に寒さにさらされるとパチっと目を覚まします。難しい言葉ですがこれを「休眠打破」と呼びますよ。
冬が寒くてしっかり目が覚めている年は、春に暖かくなると順調に花が開きます。ところが冬があまり寒くないと、「休眠打破」がしっかりできません。ボンヤリとしか目が覚めていないので、暖かくなってもなかなか花が咲かないのです。みなさんも、スッキリ気持ちよく目覚めた朝と、ボンヤリとしか目覚めていないときでは、起き上がってからの体の動き方が違いませんか? 桜も同じなのですね。
平年並みなら広島市では3月25日、下関市は26日、岡山市は28日、松江市と鳥取市では29日に開花します。それぞれの気象台で、基準にする桜の木を決めて「標本木」と呼んでいます。その木を毎日観察し、5、6輪の花が咲いたら「開花」。すると、テレビのニュースや新聞でも一斉に紹介されます。
みなさんも、近くにある桜の木を一本、「マイ標本木」に決めて観察してみてはどうでしょうか。固く閉じた花の芽がぷっくり膨らみ、その先っぽにピンクがのぞき始めたら開花まであと少し。きっと、いつもの年よりも桜の花が楽しみに、きれいに見えるのではないかなと思います。




(気象予報士・勝丸恭子)