微化石の姿 太古の時代や環境推測
みなさんは、化石というと何を思い浮かべますか? 有名なものとしては、恐竜やアンモナイトがありますね。今回はこれら大型の化石からは離れ、目に見えないくらい小さな「微化石」の世界をのぞいてみましょう。

微化石は、動物や植物などさまざまな種類があります。大きさは数ミリ以下で、1ミリより小さなものも珍しくありません。実は化石の中で最も数が多く、世界中のいろいろな時代から見つかっています。こうした微化石の移り変わりを調べると、何千~何億年も前の時代や環境を推測することができるのです。
微化石として見つかる生き物の中には、世代交代しながら現在も生きている種類もいます。たとえば、ホシズナやタイヨウノスナという有孔虫の仲間たちは、お土産でおなじみの「星の砂」の正体。暖かい海に暮らしています。
貝殻や石ころの表面に付着するコケムシも、北海道から沖縄までの海や湖で生活しています。1ミリ以下のコケムシが増殖し、体の大きさの数倍~数千倍のコロニー(集団)をつくります。
コケムシの種類によって、コロニーの形はサンゴやコケのようになります。その中で、コケムシたちは卵を育てたり、掃除をしたり、外敵を追い払ったりといった役割分担をすることもあります。こうしたコケムシの微化石を顕微鏡でのぞいてみると、1ミリ以下の世界でありながら、ずいぶん複雑な姿をしていることが分かります。
微化石は大きな化石にも引けを取らないほど多くのことを教えてくれます。このような小さな縁の下の力持ちたちを探してみるのも、おもしろいかもしれませんね。
(5-Daysこども文化科学館学芸員・二井谷茉美)
※2019年7月ちゅーピー子ども新聞掲載記事より