浮力 水押しのけた分働く
1円玉は水に浮かぶでしょうか。沈むでしょうか。
1円玉はアルミニウムという金属からできています。同じ体積で比べると、アルミニウムの重さは水の約2.7倍もあります。このことから考えると、1円玉は重いので水に浮かばないと思いますよね。

でも実は、1円玉を水面に対して平らになるように静かに置くと、浮かべることができるのです。ぜひ、やってみてください。
では、どうして水より重い1円玉が浮かぶのでしょうか。1円玉を水に浮かべて、その様子をよく観察してみましょう。
実は、1円玉は水面より下で浮かんでいます。

真横から見ると、1円玉の上に空気の層ができているのです。この空気の層が浮輪のような働きをして、1円玉は浮かぶことができるのです。
物を浮かばせようとする力のことを浮力といいます。1円玉に働く浮力は、この1円玉が押しのけている水の重さだけ生じます。

ただ実際に浮かせるためには、浮力以外にも表面張力という力が1円玉と水面の境に働いています。

ここまで、水より重いアルミニウムの1円玉が水に浮く仕組みを紹介しました。私たちの周りには、アルミニウムよりもっと重い鉄が浮く場合があります。
そう、船ですね。鉄製の船が浮く理由も1円玉と同じです。船の中には空間(空気)があるため、同じ大きさの鉄のかたまりと比べて軽くなります。船が水中に沈んで押しのけている水の重さ(=浮力)より船の重さが軽いため、浮くのです。あの大きくて重たい巨大タンカーなども中に空間(空気)があるので浮かんでいるのです。
みなさんも水にいろいろなものを浮かべて、観察してみましょう。面白い発見があるかもしれませんよ。
(5-Daysこども文化科学館主任指導主事・矢野宏和)
※ちゅーピー子ども新聞2018年3月号に掲載