コロナ禍での幾多の困難に直面し、社会情勢が急激に変化する中、将来にわたって国内外の人々から支持され続ける広島県を創造するために、県民・企業・行政などみんなで広島の価値を高め魅力を伝えていく取り組みがこの春からスタートします。広島県知事の湯﨑英彦さんと広島県商工会議所連合会会頭の池田晃治さんが語り合い、県民の皆さんに取り組みへの参画を呼び掛けました。

地域の身近な価値再確認を 
広島県商工会議所連合会会頭 池田晃治さん

 

広島の良さ再認識し更に磨く
広島県知事 湯﨑英彦さん 

 

 ―コロナの感染拡大への対応と収束後の対策は。

 湯﨑 県民の皆さんには感染防止対策や外出の半減、事業者の皆さんには営業時間の短縮などにご協力いただきました。皆さんのご協力のおかげで感染拡大も抑えられており、感謝しています。一方で、引き続き厳しい経営状況の事業者が多くありますので、事業の継続や雇用の維持に向けてしっかり支援していきます。

 池田 まずは、できるだけ感染者を増やさないためにも3回目のワクチン接種を迅速に進めてほしいと考えています。また、人流の制限で、大きな影響を受けている観光や飲食、交通関係の事業者への支援として、中断している政府の観光支援事業「GoToトラベル」を再開してほしい。消費者の需要を促し、関係事業者の売上の増加や地域経済の活性化につながると思います。

 ―コロナ禍で社会のオンライン化が進み、社会の課題解決にはデジタルトランスフォーメーション(DX)が欠かせません。県や経済界のDX推進に向けた取り組みは。

 湯﨑 コロナ禍では、都市と自然が近くて密にならない「適散・適集」(適切な分散と集積)の地域が求められています。まさに広島は、新しい社会が求める環境とマッチしています。デジタル技術を使うことによって自由度と満足度の高い働き方ができる広島を全国に発信していきます。

 池田 リモート会議やテレワーク、電子商取引(EC)などに取り組んでいる事業者が増えている一方で、乗り遅れている事業者もいます。中小事業者では最先端の技術やツールの導入はハードルが高い場合もあり、まずはITの活用による売上増加、経費節減などによる付加価値の向上に努めてほしいと考えています。私は、県内の企業や行政などが協調・協働しながら、デジタル技術やデータの有効活用を目指す「広島県DX推進コミュニティ」のリーダーも務めており、これからも県と共に、地元企業のDX化を推進していきたい。そのためには不足しているIT人材の育成強化に各企業が取り組む必要があります。

誇りとなり共感呼ぶ取り組みを

 ―閉塞感を打ち破るためにも、元気で活力に満ちた地域であることが大切です。

 湯﨑 2020年10月から「安心▷誇り▷挑戦ひろしまビジョン」をスタートさせました。この中で、さまざまな施策を貫く三つの視点の一つに「ひろしまブランドの強化」を掲げています。「ひろしまブランド」が県民の誇りにつながり、県内外の人たちに共感してもらい発展することを目指しています。その理念を、さまざまな方との意見交換を通じて、ブランド・ステートメントに取りまとめました。

 ―それはどのようなものですか。

 湯﨑 企業・団体・県民の皆さんの意見や想いをまとめたものです。広島の中心的な価値を「ひろしまは明日へ向かうエネルギーをもたらす」ところと表し、「元気、美味しい、暮らしやすい」の三つのストーリーで構成しています。国内外の皆さんに「ひろしまは元気だ」「ひろしまに行けば元気がもらえる」という広島ならではの価値を感じ共感いただきたいと思います。

 

 ―広島の価値を高めるには企業活動も重要です。

 湯﨑 企業の皆さんは「ひろしまの元気」をけん引する大きな存在です。企業活動に「ひろしまブランド」の要素を取り入れ、共に「ひろしま」の素晴らしさを磨き発信していきましょう。みんなで「ひろしまブランド」を創っていく取り組みの象徴として策定した「ビジュアルシンボル」も一緒に掲げていただきたいと思います。

 池田 ブランド・ステートメントの一つ一つにとても共感しています。経済界も外部への発信に、積極的に協力していきたいですね。「平和を追求する情熱と行動力」に関連して、23年に日本で開催予定の先進7カ国首脳会議(G7サミット)をぜひとも誘致したいです。ウクライナ情勢も含め、世界では紛争が絶えません。G7の首脳が広島に集い、被爆の実相に触れて、平和について改めて議論してもらうことは大きな意義があります。

 湯﨑 ウクライナへの軍事侵攻をきっかけに、「力には力で対抗する」という考えが広がるのを危惧しています。G7の首脳が広島に集まれば、被爆地の「土地」としての重みや、「復興を成し遂げた努力とエネルギー」を感じていただけるのではないでしょうか。核兵器の使用も不安視されている情勢の中で、国際社会が目指す方向を再確認し、ヒロシマ・ナガサキの悲劇が絶対に繰り返されてはならないという私たちの決意を実感していただくことはとても大切です。

 

 池田 「スポーツを愛し応援する情熱」につながる新しいサッカースタジアムに期待しています。企業寄付も目標額を上回る約17億円が集まり、24年2月の開場に向けて広島市中区基町の中央公園広場で建設が始まっています。全国でも珍しい「街なかスタジアム」は広島市中心部の活性化に貢献すると共に、マツダスタジアム(南区)と並んで「ひろしまブランド」のシンボル的な存在になると期待しています。

 湯﨑 広島市内中心部では高度成長期にできた建物が老朽化し、再開発が計画されています。都心に多彩な機能を集めて活性化させることが求められており、街なかスタジアムは、「都市と自然が近接した質の高い暮らし」を体現する施設になります。公園と一体化したスタジアムはにぎわいや憩い、エンターテインメントの中心地となり、広島市だけでなく県内各地を訪れる起点にもなり得ますね。

「当たり前」を客観的に見直そう

 ―「多彩で豊富な観光資源」についてはいかがですか。

 池田 米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)は、広島が主なロケ地です。私が理事長を務める広島観光コンベンションビューローの広島フィルム・コミッションが撮影に協力し、頑張ってくれました。作品には、広島市内や瀬戸内海の風景が登場し、広島の魅力を紹介していただいたと喜んでいます。大林宣彦監督の尾道三部作でロケ地となった尾道市は、映画で地域の魅力が再認識されました。広島県全体で同様に、観光資源をブラッシュアップし、今後も国内外の多くの観光客に来ていただきたいですね。

 湯﨑 「ドライブ・マイ・カー」でも、呉市などの安芸灘とびしま海道のシーンが使われています。他県の人たちは、瀬戸内の多島美がまるで箱庭のように見えるといいます。山間部にも里山や田んぼなど日本の原風景が残っており、そこに人々の暮らしが息づいています。食べ物もバラエティーに富み、県内各地の「多様で美味しい食資産」は誇るべき宝です。

 ともすれば、私たちが当たり前として受け止めているその価値を再認識し磨いていく努力が大切です。身近な例では、県外の方に広島のお土産を配るとすごく喜ばれることがありますよね。このような出来事を通じて、自分たちも故郷を誇りに思うし、県外の人たちにも自信を持って発信できます。そして、「美味しいね」「暮らしやすい所だね」などと広島を評価してもらえると、私たちの誇りとして返ってきます。そういった好循環をつくっていきたいです。県民の皆さん一人一人には、未来に向けて「元気・美味しい・暮らしやすい」という「ひろしまブランド」の向上に参画していただきたいと思っています。

 池田 広島のお土産がすごく喜ばれる経験は、私もあります。広島に住んでいる私たちが、広島の素晴らしさを認識していないというのは確かにありますね。日常風景をもう一度、客観的に見直して磨き上げていきたいです。県外の友人が広島を訪れ、カープファンが試合観戦には自宅からマイユニホームを着て行き、観戦後にも着たまま街を歩く姿にびっくりしていました。私たちにとっては日常ですが、県外の人には面白い風景です。身近だけど外から見たら非日常というものを「ブランドの種」として見つけ、磨いていくことが必要です。世界では、HIROSHIMAは私たちの認識以上にブランドとして通ります。官民一体となって「ひろしまブランド」を育て広めていきましょう。

 
 

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