日本で初めて天気予報が発表されたのは、今から140年ほど前の1884年、明治時代のことです。それよりも昔の人たちはどうやって、あしたの天気を予想したのでしょうか? 天気がわからないと困るのは、農業をする人や漁師さんたちだけではありません。実は、「忍者」も、天気をとても気にしていました。
忍者は暗闇にまぎれて忍び込み、誰にも見つからないよう行動しなければいけません。それなら、月明かりのない夜が安心です。光があると自分の影が伸びて気づかれてしまう心配があるからです。自分のにおいで相手に気づかれることもあるので、風上ではなく、風下で動きます。「雨や風を知ることは、忍術のかなめである」といわれるほど、天気が重要だったのです。
忍術をまとめた本には、「風雨の占い」として天気を予測する方法がたくさん書かれています。たとえば「星の光が揺らいで止まらず、目のまばたきのようであれば、三日以内に大風が吹く」とか、「蜘蛛の巣に朝露がついたら晴れ」など。
こうして空や生き物の様子を観察し、そこから天気を予想することを「観天望気」といいます。みなさんも、「夕焼けは晴れ」とか「つばめが低く飛ぶと雨」といったことわざを聞いたことがないでしょうか? 忍者だけでなく、昔の人は自然をよく観察して、これから天気がどうなるかを予測していたのです。
私たちも、空や生き物の様子を観察してみましょう。楽しい発見がたくさんあります。そして、「雨の降り方がいつもと違うな」といったことに気づきやすくなるはずです。(イラストも)
かつまる・きょうこ 気象予報士、防災士。1980年、広島県海田町生まれ。2010年にNHK広島放送局の気象キャスターに。現在「おはようひろしま」「おはようちゅうごく」「ひるまえ直送便」を担当。大のカープファン。