新型コロナウイルスに感染した人が世界で累計5億人を超えた。世界保健機関(WHO)によると、新規感染者、死者とも減少傾向にはあるものの、感染力の強いオミクロン株が依然、猛威を振るっている。

 日本国内でも新規感染者数は3週連続で前の週を上回った。政府は流行「第6波」が収まったとみて、まん延防止等重点措置を解除したが、リバウンドが現れた。地方で拡大が目立ち、9県で第6波のピークを越える。

 都道府県による住民向け旅行割引支援「県民割」の地域ブロック拡大など、経済活動の回復が図られるが、感染対策との両立が問われる。ワクチン接種率の低い若年層にどう推進するかが鍵となりそうだ。

 まん延防止措置の抑止効果には限界論もあった。検証とともに、「第7波」回避に向けた戦略が早急に求められる。

 ワクチン接種が進んだ欧米を中心に、重症化率や死亡率が下がったことから、マスク着用義務などの規制を撤廃する動きが広がる。一方、「ゼロコロナ」を目指して封じ込めに躍起の中国では、新規感染者が急増。上海のロックダウン(都市封鎖)を続けている。

 世界で流行中のオミクロン株は従来の「BA1」よりも感染力が高いとされる派生型「BA2」へと置き換わりが進んでいる。広島県でも先月下旬、感染者に占めるBA2の割合は3割超との分析結果が出た。

 さらに派生型2種が交ざり、感染の拡大スピードが速い「XE」が英国などで増加。今週、日本でも初めて検疫で感染者が見つかった。拡大させないよう水際対策が重要となる。

 ワクチン接種が国内で高齢者を対象にスタートしてから1年になる。重症化を防ぐ効果があるとされ、国民の8割が2回目までは接種してきた。

 第6波は3回目接種の遅れが招いた―との指摘がある。第7波を回避するには、やはりワクチンが柱となる。

 ところが3回目接種率は全体で約46%にとどまる。高齢者は8割超が終えたが、若者の動きは鈍い。オミクロン株は重症化リスクが小さいとみる油断や、対策疲れが理由と考えられる。

 流行初期に、活動的な若者の感染が増え、高齢者へ広がるのがこれまでのパターン。流行の起点となる若年層に、いかに接種を促すかが課題だ。

 第6波の際、まん延防止措置は飲食店対策が柱で、高齢者や子どもに拡大した感染実態とはずれがあったとの指摘も忘れてはならない。学校や家庭、高齢者施設でのクラスター対策が求められる。検査体制の拡充など医療現場を逼迫(ひっぱく)させないよう、先手先手を打っておくべきだ。

 最近、コロナ関連の発表・報道への疑念や反ワクチンを唱える言説が聞かれる。接種は個人の自由としても確かな根拠もなくワクチンを否定し、コロナを軽んじてはなるまい。ワクチンの効果はもちろん、副作用や後遺症の事例についても国が積極的に情報公開し、丁寧に説明することで、不安を払拭せねばならない。

 大型連休を控え、政府は3回接種した人を対象にイベント入場料を割り引く制度を準備しているようだ。感染状況を慎重に見極めながら、社会経済活動の回復を図っていく必要がある。