地上に美しい星空を再現してくれるプラネタリウム。日本は世界トップクラスのプラネタリウム大国です。国内には300施設以上のプラネタリウムがあります。
では、世界で初めてプラネタリウムをつくった国はどこでしょうか。答えはヨーロッパのドイツです。1923年、中部の都市イエナにある光学機器メーカーのカールツァイス社が、投影機「ツァイスI型」を開発しました。ミュンヘンにある、国内の優れた産業技術や自然科学を集めるドイツ博物館から依頼を受けて製作したものです。

とげとげしい球体は五角形と六角形を組み合わせた32面体になっています。円すいの頂点にはレンズがはめられており、星空を32分割して、直径10メートルのドームに4500個の恒星を映すことができました。筒型の装置は惑星棚といって、惑星の動きを再現できる円盤がおさめられています。ほかに星座名や天の川、太陽、月の満ち欠けも表現できました。
しかし、ツァイスI型には問題点もありました。緯度を変えることができなかったため、ドイツ(と同じ緯度)の星空しか映し出すことができなかったのです。その後、技術改良が重ねられ、世界中の星空を再現できるようになりました。ツァイスI型は1925年から40年近くドイツ博物館で使用され、現役を終えた現在も館内に展示されています。
プラネタリウムの生誕地イエナには、現存する中では世界でもっとも古いプラネタリウムドームがあります。1926年に完成した建物は歴史的建造物に指定されるほど古いものの、館内は最新の機械が使われていて、今も訪れる人々を星空の世界へいざなっています。
ところで、こども文化科学館のプラネタリウムは、40年以上使っていますが、まだまだ現役で頑張っています。映し出せる恒星の数は1万6千個になりました。機械の形は、今回紹介したツァイスI型とは全く違うので、ぜひ見に来てくださいね。
(5-Daysこども文化科学館学芸員・小出美由紀)
※2020年7月ちゅーピー子ども新聞掲載記事より