広島市役所

 広島県広島市は20日、今年8月6日の平和記念式典に、ロシアのプーチン大統領と同国の駐日大使を招待しないと明らかにした。市によると、1998年から続けている核兵器保有国の首脳の招待を見送るのは初めて。ロシアがウクライナ侵攻を続けていることを踏まえた。

 市民活動推進課は「式典に招待することで、ロシアに対する日本の姿勢について誤解を招く恐れがある」と説明している。政府と協議して判断したという。市は2006年から各国大使にも招待状を送っているが、今年はロシアの攻撃を支援したベラルーシの駐日大使も招待しない。

 同課は「今後、国際情勢が改善すれば、式典参列や原爆資料館の視察を強く申し入れたい」としている。(余村泰樹)

「対立構造深まる世界の潮流に流されないで」

 ウクライナ侵攻を理由に広島市は今年の8月6日の平和記念式典へのロシアのプーチン大統領や同国の駐日大使の招待を見送った。被爆者たちからは20日、世界で核兵器使用のリスクが高まっている今こそ被爆地訪問を求めるべきだとの声が上がった。

 被爆者の田中稔子さん(83)=東区=は「プーチン大統領の行為は許されるものではないが、被爆地広島の役割は平和や核兵器廃絶を話し合う機会を提供すること。対立構造が深まる世界の潮流に流されないでほしい」と願った。

 ロシアは核兵器による威嚇を続けている。広島の若者たちでつくる「核政策を知りたい広島若者有権者の会」の田中美穂共同代表(27)は「ロシアの人々にこそ核兵器の非人道性を知ってもらいたい。その機会を絶つことは、核兵器の悲惨さを二度と繰り返してはいけないと訴えてきた被爆地の姿勢と矛盾しないだろうか」と疑問を呈した。

 市は「緊迫した状況だからこそ、被爆地で平和への願いを感じてほしいとの思いは変わらない」と式典を円滑に進めるためのやむを得ない判断だったと説明している。(小林可奈、余村泰樹)