6月22日公示、投開票日は7月10日と目されている参院選が近づく。昨年秋の衆院選は岸田文雄内閣の発足から間がなく、政権の評価を問う国政選挙は今回が初めてとなる。

 長引く新型コロナウイルスの流行、ロシアのウクライナ侵攻、それに伴う物価高、20年ぶりの円安…。未曽有の国難に見舞われている中、乗り越えるべき試練は山ほどある。

 今国会も会期末まで1カ月を切り、本来なら与野党が議論を激しく戦わせているはずだ。残念ながら、国会の論戦は活発化しているとは言いがたい。

 岸田首相も、野党第1党である立憲民主党の泉健太代表も、まだ一度も党首討論の場に立っていない。与野党のトップが目指す政策を戦わせないままでは有権者の期待もしぼむ。政治が緊張感を欠いている。

 国会を無難に乗り切り、そのまま参院選に臨みたい思惑が与党に透ける。支持率の高さが一因なのだろう。先月の世論調査で、岸田内閣は60%近い支持率を維持している。自民党支持率も4割を超えている。

 楽観的な見通しのせいか、このところ細田博之衆院議長の軽はずみな言葉が目立つ。「議員を多少増やしたって罰は当たらない」「毎月の歳費は100万円しかない」などと言い放った。衆院の10増10減案を自ら否定する発言に至っては、おごりとしか言いようがない。

 コロナ問題では、2年半にわたる対策の検証結果が来月公表される。議論もそこそこに、わずか1カ月で結論を急ぐのはなぜだろう。参院選を意識し、与党の成果にしたいというのであれば、到底許されない。

 一方、野党の存在感は薄い。「反対ばかり」と批判されることを恐れるあまり、「主張すべきことは主張する」本分を忘れているのではないか。

 例えば、経済安全保障推進法案を巡る審議がそうだ。情報や高度技術の流出を防ぐ手だては必要だが、政省令で決める項目が138カ所もあるなど運用面に不明確な点も多かった。

 産業界にも懸念の声があったのに、立民などは修正に応じて賛成に回り、法案を成立させた。課題があるなら堂々と反対し、仕切り直しを求めれば良かったのではないか。

 国民民主党は、野党としては異例の当初予算案賛成に踏み切った。参院選山形選挙区では現職が自民の推薦を受ける話も浮上した。与党なのか、野党なのかさえ分からない。

 先月の世論調査で自民に次ぐ支持率だった日本維新の会は、与党との対決色を強める。だが憲法改正では足並みがそろっており、今後は見通せない。

 野党を支えてきた連合では、自民の関係者と会食を重ねる芳野友子会長への批判も強まっている。参院選の対応で「期待し得るのは立民、国民にほかならない」としたものの、組織がぐらついている感は否めない。

 政治に求められるのは、日本の針路を見定める見識であり、政策本位の議論だろう。まして参院は「良識の府」であり、長く、幅広い視野が望まれる。

 今回の参院選後、国政選挙が3年間、遠のく可能性もある。選挙結果が政局に与える影響は決して小さくない。与野党は目指す社会像を、明確な選択肢として示してもらいたい。